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ユーザーを訪ねて

2023年夏号のユーザーを訪ねて

No.194

製品カテゴリ:MX-520V.Plus Series

MX-520 が支えるチャレンジ精神

株式会社 奥田精工 様

 

今回のユーザーを訪ねては北陸自動車道の鯖江ICから車で15分の距離にある、株式会社奥田精工です。同社では機械部品や自動車部品など、幅広い業界にむけた金属加工を手掛けており、旋盤とマシニングセンタを活用した、高精度な切削加工に強みを持ちます。複雑な形状や難削材の加工に対応する高い技術力を持ち、難易度の高い金属加工を得意としています。また、同社はマツウラと長年協力関係にあり、高品質な機械部品を供給するパートナー企業として、マツウラの精度と品質を支えています。

取材には奥田博之 代表取締役社長にご対応頂きました。奥田社長は同社の2代目にあたります。大学卒業後は関西の大手製薬会社に入社、MR(医薬情報担当者)として勤務されます。その後、30歳の節目にあたる1997年に同社に入社。2001年に現職に就任されました。入社後は日々の業務と並行して、福井職業能力開発促進センターに通い機械オペレーションを学ぶ、多忙な日々を送られたとのことです。2006年からは福井県立大学大学院 ビジネススクールの第一期生として経営を学ばれ、2008年にMBAを取得されました。

旋盤師であった先代が自宅で創業

同社は奥田社長の父であり、先代の奥田篤 現会長が「奥田鉄工所」として鯖江市柳町にて創業しました。「元々、旋盤師であった父が独立したことから事業がスタートしました。創業当初は自宅の倉庫を作業場にしていました。地元福井の機械メーカーを中心に次第に取引が増え、事業の拡大とともに鯖江市内の機械工業団地に社屋を移しました。1990年には現在の所在地である鯖江市漆原町に移転し、1995年に『株式会社奥田精工』に改称しました。」と奥田社長。

通算12台のマツウラ機

難易度の高い部品加工で多くの実績を持つ同社では、長年マツウラ製品を愛用されています。これまでに通算12台のマシニングセンタと、3シートのGibbsCAM を設備してきました。マシニングセンタはそのうち8台が現役で稼働しており、最も古い機種は1981年に設備した立形マシニングセンタMC-760V1 です。「40年以上前の古い機械ですが精度も安定しており、今なお現役で活躍してくれています。MC-760V1 に裏打ちされた実績もあり、私のなかでマツウラ機は耐久性に優れているイメージが定着しています。精度の面でもマツウラであれば間違いないと感じています。」と奥田社長。MC-760V1 の設備以降も、同社ではマツウラの立形マシニングセンタを継続的に設備されます。「当社では旋盤加工したワークに、追加の穴あけや切削を行う用途でマシニングセンタを使用しています。従来は3軸機で充分対応できたのですが、取引の幅が広がるにつれて、割り出し加工が必要なワークが増えてきました。そのような背景から、2009年に設備した立形マシニングセンタV.Plus-1000 は、3軸機に回転傾斜軸を付加した特殊仕様としています。」と奥田社長。

MX-520 の設備

1981年のMC-760V1 以来、立形マシニングセンタを中心に設備してきた同社ですが、2022年には同社初となる5軸制御立形マシニングセンタMX-520 を設備します。設備の背景について奥田社長に伺いました。「先にも述べたとおり、割り出し加工の必要性が年々高まってきたことが大きく影響しています。より複雑な加工に対応するため、また限られた人員で生産性を高めるためにMX-520の設備に至りました。特に段取りの工数削減や時間短縮の面で恩恵が大きいと感じています。MX-520 と併せてGibbsCAM も更新しましたが、マツウラからのサポートは充実していました。5軸機でのプログラムの組み方などを講習で学ぶことができ、また機械納入時の操作説明など、時間をかけて丁寧にサポートして頂きました。」

自社アウトドアブランドの立上げ

MX-520 の設備はオペレーターのモチベーション向上に繋がったと奥田社長は語ります。「5軸機の設備やGibbsCAM の更新で、対応できる仕事の幅が広がりました。またそれに伴い、会社全体のチャレンジ精神を醸成することにも繋がっています。MX-520 のオペレーターは30代の若手社員を中心に構成しています。彼等の中にも『せっかくの5軸機だから様々な加工に挑戦したい』という思いが芽生えているようです。それがカタチになったのが、当社が手掛けるアウトドアギアの自社ブランド『Glänta-os(グレンタ オーエス)』だと思います。第一弾として送り出した製品は、当社の切削技術を活かして総削り出しで製造したアウトドア用のコンロで、MX-520 で加工しています。私を含むアウトドア好きの社員が中心となりスタートしたプロジェクトで、クラウドファンディングで販売を開始しました。切削加工で製造するため、アウトドアグッズとしては高価ではありますが、正直、予想を上回る販売を記録しており、個人的にも非常に驚いています。第二弾、第三弾となる製品も若手社員が中心となって鋭意企画中です。このようなチャレンジに前向きに取り組めている背景には、新たに設備したMX-520 の存在が大きいでしょう。」

チャレンジし続ける企業

取材の最後に同社の展望を伺いました。「当社は従業員9名と小さい企業のため、いたずらに規模を拡大する考えは持っていません。だからこそ、私としては常に新しいことにチャレンジしたい気持ちが強いです。また同様に、従業員一人ひとりがチャレンジ精神を持って仕事に臨める会社にしたいです。先の『Glänta-os』もそのようなチャレンジのひとつで、今後も製品ラインナップを増やしていきたいと思っています。また最近では宇宙開発の分野でも新規の引き合いがありました。自社の強みを活かしながら、これまでにない分野にも果敢にチャレンジし続ける企業でありたいです。」と奥田社長。


「『Glänta-os』とはスウェーデン語で『木々の中で開けた光の当たる場所』という意味を持ちます。ともすれば埋もれてしまう小規模な当社ですが、数ある企業の中で光の当たる存在になりたい、という思いを込めました。モノづくりに携わる中で、自社で生み出した特別な製品を、社員と共に世に残せたことを非常に嬉しく思っています。」と奥田社長。インタビューと工場風景の動画は、記載のQRコードを読み取りご視聴頂くことができます。また、当社ホームページでも公開中です。ぜひご覧ください。

会社情報

会社名
株式会社 奥田精工 様
本社
〒916-0075 福井県鯖江市漆原町21-5
TEL
0778-62-0639
FAX
0778-62-2265
代表者
代表取締役社長 奥田博之
設立
1968年6月
従業員数
9名
事業内容
各種機械金属部品加工 ( 工作機械部品・射出成形機部品・ 産業機械部品等)

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