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ユーザーを訪ねて
2023年春号のユーザーを訪ねて
No.193
製品カテゴリ:MX-330MAM72 Series
GibbsCAM で培った『プログラミング力』
株式会社エー・ピー・エム 様
今回のユーザーを訪ねては北関東自動車道の太田藪塚ICから車で25分の距離にある、株式会社エー・ピー・エムです。同社はアルミを専門とした部品加工を手掛けており、半導体関連装置をはじめ、液晶関連、食品関連、医療関連など、取引のある業界は多岐に渡ります。取材には布施浩二 代表取締役社長にご対応頂きました。布施社長は同社の2代目にあたり、2018年に現職に就任しました。会社経営に携わる傍ら、現役の機械オペレーターとして同社のモノづくりの最前線に立たれています。
マシニング加工の将来性
同社は先代であり布施社長の父にあたる、布施雄一 現会長が創業した企業です。創業当時のお話を布施社長に伺いました。「元々、旋盤師であった父がマシニング加工に将来性を見出し、独立したことから事業がスタートしました。創業当初からマルチパレットを搭載した横形マシニングセ ンタによる連続運転を得意としており、そのノウハウは現在も当社のモノづくりの根幹を支えています。当時からアルミ加工を得意としていましたが、鉄や鋳物、樹脂など様々な材料を取り扱っていました。ガラス繊維入りの樹脂を手掛けたこともあり、大変苦労しながら取り組んだことを記憶しています。」と布施社長。
GibbsCAM の存在がすべて
同社で初となるマツウラ機は2022年12月に設備したMX-330 PC10 であり、同社にとって初めての5軸機となります。しかし、同社とマツウラのお付き合いは、同社の創業当時からスタートしていました。布施社長はこう続けます。「初代である会長は当社を設立するにあたり『これからのモノづくりにはシミュレーション機能を搭載したCAD/CAMが必要だ』と考え、当時シミュレーション機能が充実していたGibbsCAM を設備しました。マシニング加工の世界において仕事の良し悪しは、人はもちろんのこと、それ以上に機械に左右される部分が大きいと私は考えます。更に言えば、実質的に機械を動かしているプログラ ムは非常に重要なファクターです。『競合との差別化を図るにはプログラム力を磨く必要がある』というのが先代から続く当社の理念です。全ての業界に言えることですが、特に半導体分野ではバリを嫌う傾向が根強いです。半導体関連での引き合いの多い当社では、面取りを限界まで入れるため、GibbsCAM のシミュレーション機能を活かしてプログラムを徹底的に作り込んでいます。取引先からも『エー・ピー・エムの製品は手仕上げ要らずだ』と評価を頂くことも多いのですが、その背景には創業当時から培ってきたプログラム力によるところが大きいです。当社の現在の発展については『GibbsCAM の存在がすべてであった』といっても過言ではないでしょう。」
10パレットといえばMX-330 PC10
「従来から当社では、マルチパレット搭載の横形マシニングセンタを使用した自動運転で収益を得るビジネスモデルを構築しています。そのためMAM72 Series をはじめとするマツウラの自動化・無人化のコンセプトには長年シンパシーを感じていました。」と布施社長。MX-330PC10 の設備に至った経緯について、次のように語ります。「創業時から稼働していた400角10パレットの横形マシニングセンタの後継機が必要となりました。選定に際しては既存機の仕事量を十分にこなせることが前提条件でした。更に、将来的に対応できる仕事の幅を増やしたいとの思いから、当初は横形5軸機の設備を検討していました。しかし、搭載できるパレット数の制限や、既存機が主に担っていたバイス加工の使い勝手に対しては懸念がありました。最適な機械が見つからず悶々としていた折に、懇意にしている販売店の会長との会話がきっかけで『10パレットの後継機は10パレットが良いのでは』と考えるようになりました。当時、私の中で『10パレットといえばMX-330 PC10』というイメージが強く根付いていました。懸念事項であったバイス加工もMX-330 PC10 であればまさに『十八番』ではないかと考え、実際に設備する運びとなりました。」
5軸機での工程集約は楽しい
MX-330 PC10 を設備した効果について、布施社長は次のように語ります。「私自身、機械オペレーターとして段取り替えに要する労力の大きさを痛感しています。また金属加工で生じる失敗の殆どは、段取り替えの際に生じる人為的ミスであることも事実です。それらの負担が軽減される意味で、5軸機による工程集約の恩恵は非常に大きいです。なにより5軸機での工程集約は楽しい。当社の他の設備機と比べ、遥かに効率的な加工ができるため、最近は図面を見ると『5軸機を用いて如何に効率化できるか』と、5軸機の使用を前提に思案する癖がついてしまいました。機能面では、マツウラ機に搭載されている『再開支援機能』が重宝しています。加工中にワークの状態を確認したいと思った際に、機械を一時停止させ、その後自動的に復帰できる機能は、当社の他の設備機には無い、利便性の高い機能です。」
人的リソースを活かすための設備投資
取材の最後に同社の展望について伺いました。「製造業に身を置く以上、設備投資は避けて通れません。その時代に最適な設備に投資することは極めて重要です。そのためには、必要に応じて投資に踏み切ることが出来る、健全な経営基盤を維持することが前提となります。個人的には『職人的』な考え方が好きで、尊重しています。しかし今日の工作機械の進化を鑑みるに、機械オペレーターの職人的スキルがさほど問われない世の中に、今後もシフトし続けるでしょう。機械のオペレーションが自動化されることで、人的なリソースが生まれます。当社の強みでもある加工プログラムの作成や、企業のマネジメント業務など、人にしか担えない部分を強化するために、そのリソースを割きたいと考えています。今後の設備投資については、そのような人材活用を叶える方向に向けて進めていきたいです。」と語る布施社長。
布施社長は同社への入社以前から機械操作に慣れ親しんでいたとのことです。「高校の夏休みの間、独立前の父の職場でアルバイトをしていました。そこでは汎用フライスを使用し、治具の作成や下加工を担当しました。そのため汎用機械を扱う苦労は身に染みて理解しています。当時の経験があるからこそ、NC工作機械の有難みや、5軸機を使った工程集約の楽しさを噛み締めることが出来るのでしょう。」と布施社長。インタビューと工場風景の動画は、記載のQRコードを読み取りご視聴頂くことができます。また、当社ホームページでも公開中です。 ぜひご覧ください。
会社情報
- 会社名
- 株式会社エー・ピー・エム 様
- 本社
- 〒373-0847 群馬県太田市西新町103-2
- TEL
- 0276-30-4058
- FAX
- 0276-30-4059
- 設立
- 1997年9月
- 従業員数
- 15名
- 事業内容
- アルミ専門の精密機械部品加工