トピックス
ユーザーを訪ねて
2020年秋号のユーザーを訪ねて
No.183
製品カテゴリ:MX-330MX-520V.Plus-550
5軸加工に特化し、リードタイム5日以内の超短納期を得意とする試作加工の専門企業
有限会社高野製作所 様
今回のユーザーを訪ねては、名神高速道路の八日市ICから車で5分の距離にある(有)高野製作所です。取材には高野元秀社長に対応頂きました。
同社は昭和53年に高野社長の父である高野和明会長が繊維関連の部品加工として滋賀県東近江市で創業しました。高野社長は、愛知県の工業大学で機械工学を学び、卒業後岐阜県の金型メーカーに就職。機械加工やCAD/CAMに10年従事し同社に入社しました。
「会長からは入社を強いられることはありませんでしたが、金型メーカーで機械加工の技術を習得したので、自分の力を試したいとの思いで入社しました。4年前にそろそろ代わるからと言われ社長に就任しました」
「創業時は繊維関連でしたが、現在は自動車の試作部品加工がメインです。そして、最近医療部品加工を行なっています」と高野社長。
同社は5軸マシニングセンタ3台、5軸複合加工機1台、3軸マシニングセンタ4台、NC旋盤2台、汎用フライスと旋盤など多数の機械を設備していますが、加工を4名で担当しています。
航空宇宙分野への進出
「自動車部品が全体の8割を占めていました。ひとつの業種に依存している危険性があると考え、航空宇宙分野への参入を検討しました。しかし、5軸加工機と3次元測定器の設備があっても、当社の規模では受注が難しい状況です。そこで新規参入するために品質を保証するための認証が必要と考え、航空宇宙産業向け品質マネジメントシステムJISQ9100を丸1年かけて取得しました。当社の規模で役割や責任を明確にすることに大変苦労しました。そして、認証取得により岐阜県の会社と契約することが出来ました。当社の規模では量産は出来ないので試作部品加工を受注しました。また、高速道路を使えば岐阜県まで1時間ほどの距離なので、打ち合わせを容易に行なえることも当社の強みです」と高野社長。
医療分野への進出
「次の市場として医療分野への進出を検討しました。そして、数ヶ月前から医療機器メーカーの仕事を始めています。この会社には数年前に1,2度接触したことがありました。本格的に参入するために再度連絡したところ、仕事が忙しいので手伝ってもらえないかとのことでした。発注の理由は、当社のホームページを見てJISQ9100を取得しているので品質管理は大丈夫との認識を持たれたとのことです。JISQ9100取得には大変苦労しましたが、航空宇宙分野、そして医療分野への進出が出来たので苦労は報われました」
「私を含めた4名は、多種多様な機械を操作し、また同時5軸加工に対応したCAD/CAMを使ってプログラム作成から加工まで行える多能工です。試作加工なので、動いていない機械もありますが、人はフル稼働な毎日です」と高野社長。
5軸制御立形マシニングセンタMX-520を設備
同社は、平成23年4月にMX-520を設備しました。
「他社の5軸加工機を設備して5軸加工を行なっていました。仕事量を増やす為に5軸加工機の新設を考えていました。既存の5軸加工機は3軸加工機に付加軸をのせた形式だったので、接近性が悪く、またY軸のストロークも短いので背の高い部品が加工出来ませんでした。そこで、5軸加工機に実績のあるマツウラの機械を検討しました。マツウラ本社でMX-520を使ってのテストカットを実施し、操作性や加工範囲などを確認し導入を決定しました。もう一つMX-520で良いところは工具本数が多いところです。30本仕様では多数の穴加工を行なう場合工具本数が足りませんが、MX-520は60本と十分な工具本数を備えています」と高野社長。
立形マシニングセンタV.Plus-550と
5軸制御立形マシニングセンタMX-330 PC10を設備
平成30年4月にV.Plus-550を設備し、更に同年11月MX-330 PC10を設備しました。
「老朽更新で立形3軸マシニングセンタが必要になり、マツウラのV.Plus-550を設備しました。マツウラの工具管理が使いやすいので同じシステムに統一したいと考えました。この機械を設備した時には、MX-330 PC10の導入を決めていました。特に10枚のパレットが魅力的でした。パレットプールは大きな窓から中が確認できるので誰が見ても理解しやすく、使いやすい構造です。また当社の加工ワークの多くが握りこぶしぐらいの大きさなのでMX-330の加工エリアが最適です」
「当社ホームページに、5軸加工に特化し、リードタイム5日間以内とアピールしています。リードタイム5日間とは、月曜日に引き受けたら金曜日には納品しますとの決意ですが、5日間で出来ない難易度が高い加工もあります。しかし、会社方針として5日間を目標に頑張っています」と高野社長。
人材育成には2次元図面が重要
「新人教育で失敗したことがあります。CAD/CAM操作から訓練したところ、図面を読む能力が育たなかったという経験があります。今は2次元図面をしっかり読んで、原点は何処にするのか、また穴加工箇所に色を塗り、どの工具を使うか把握してからCAD/CAMを操作するように指導しています。3次元の曲面加工では加工経験者と差が出ませんが、穴加工をすると差が明らかになります。穴加工は使う工具本数はすぐ増えます。また次の加工ワークの穴加工も把握して極力工具の組み換えを無くすような配慮が必要です。現在デジタル化が進んでいますが、モノづくりは紙の2次元図面を把握していないと絶対出来ない仕事です」と高野社長。
工場内は整理整頓がきっちりされ、また創意工夫が随所に見られました。例えば、MX-520では前面ガードに回転式のホワイトボードが取り付けられています。このホワイトボードに図面を貼り、加工しながら寸法などを確認できるようにしています。創意工夫をすることで試作加工を普通に行える企業風土を作っていると実感した取材でした。
会社情報
- 会社名
- 有限会社高野製作所 様
- 本社
- 滋賀県東近江東沖野3丁目10-33
- TEL
- 0748-23-0558
- FAX
- 0748-24-0558
- 役員
- 代表取締役 高野 元秀
- 創業
- 昭和53年
- 設立
- 平成元年3月10日
- 従業員
- 4名
- 事業内容
- 自動車、航空宇宙、医療関連の試作部品 加工