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ユーザーを訪ねて

2016年7月号のユーザーを訪ねて

No.166

製品カテゴリ:MX-520VX-1000V.Plus-550

122の専門会社のネットワークで、お客様のあらゆるご要望に対応する

株式会社博洋エンジニアリング 様

 今回のユーザーを訪ねては、阪神高速13号東大阪線「高井田」出口より車で5分のところにある株式会社博洋エンジニアリングを取材いたしました。取材には保坂 光男社長にご対応頂きました。

「創業者は商社から独立してこの会社を起こしました。社名を決める時に商社出身なので、加工するだけでなく付加価値を付けたいとの思いで、製作所でなく“ エンジニアリング ”としました。また“博”は豊かな知識、“洋”は太平洋の様に広い心を意味しています。創業者は50歳後半で胃ガンで亡くなり、社員として働いていた私が会社を引き継ぎました」と保坂社長。

モノづくりの縁はマツウラのマシニングセンタ

 保坂社長は兵庫県尼崎市出身で、実家の近くに通信機器などを製作している大手企業がありました。保坂社長は大学生の時に、その会社の加工工場で2年間アルバイトをしていました。

「その会社では、多くのマシニングセンタで精密部品を作っていました。私は、18歳から20歳までマツウラの立形マシニングセンタRA-2で部品加工に従事しま した。自分がこうしたいと思ってプログラムを作り、そ の通りに機械が動き、形になっていくことに、今まで経 験したことのない魅力を感じました。大学卒業後に鉄鋼メーカーに入社し営業として働きましたが、工作機械を使って加工したことが忘れられず、縁あって当社に入社しました。そして本格的に部品加工に取り組み、更に工場管理まで行うことになりました。その後、アルバイトしていた大手企業とも直接仕事が出来るまでになり、高 精度部品の試作を多く手掛けました。マツウラのRA-2との出会いが私のモノづくりの原点です」と保坂社長は当時を語りました。

航空機用ディスプレイ筐体の製造に挑戦

「当社が最初に手掛けた航空機関連部品は、コックピットでパイロットが操縦時に見るディスプレイを納める筐体の製作です。15年前に神戸市のある外資系会社から、アメリカで生産輸入しているディスプレイ筐体の製作を受けました。図面は全て英語で書かれており、また適切な工程管理も求められました。何も分からない状況でスタートしましたが、この会社の全面的協力により2年後にようやく製品として規格に合った筐体を作ることが出来ました。その後アメリカで作られていたものを順次、当社での生産に移行してボリュームを増やしていきました。その過程を経験して、新しい部品製作に挑戦で きる自信を持ちました。当時航空機の機体生産が好調でしたので、どうしても航空機分野へ進出したいとの意欲が湧き、航空機部品製作が盛んな岐阜県各務原市の大手企業に直接連絡を取り飛び込みで営業を行いました。開発資材の担当者の方が、当社の技術力に興味を持たれ、各務原市にある協力会社を全て紹介して頂きました。そして、その中の会社から航空機の翼に使われる機構部品 の仕事を受注し、航空機部品への進出ができました」と 保坂社長。

携帯電話通信に必要な基地局部品の量産化

「当社は、携帯電話通信に必要な基地局部品の試作も行っていました。携帯電話普及により、量産化を求められましたが、切削では時間がかかり生産量の確保が難しい状況でした。付き合いのある鋳物屋と協力して、3次元CADCAMとマシニングセンタを使って木型を作り、鋳物での基地局部品製作に挑戦しました。出来た鋳物に機械加工で仕上げた部品をお客様に提示し、“鋳物と機 械加工により一週間で納入できます ”とアピールしました。この生産方式が認められ、あらゆるメーカーから基地局部品の製作依頼が当社にありました。10年間基地局部品の仕事を行い、鋳物作成における技術力を身につ け、ダイキャストの量産を含めた受託加工を受けるようになりました。当社の強みは、ダイキャスト生産における鋳造方法に豊富な経験を持っていることです。通常の加工業では、与えられたダイキャストを加工するだけですが、当社は加工する為に最適なダイキャスト作成にま でこだわっています」と保坂社長。

122の専門会社によるネットワークでお客様のあらゆる要望に対応

 同社のホームページに多数のパートナー企業名が掲載されています。パートナー会社は加工業だけでなく様々な業種です。

「このネットワークは、当社を中心とした仕事の依頼をする形ではありません。仕事の量や質での付き合いではなく、人としての付き合いから始めています。各社の強み、弱みを開示して、経営の方向性が変わった時には設備の共有化、更には人の共有化を行います。このグループ内企業にお客様が仕事を発注した時に、全ての工程に対応して、そのまま使える製品をお届けすることを目指しています。その為に、表面処理や様々な工程を行える企業が集まって122社となっています」と保坂社長。

立形マシニングセンタ「VX-1000」を設備

「祖父が富山県出身なので、工作機械は北陸との思い がありました。それで平成25年にVX-1000を設備しま し た が、こ の 機 械 は マ ツ ウ ラ と し て 記 念 す べ き20001号機の機械でもありました。VX-1000は、現場の社員からも高評価であり、その後次々とマツウラのマ シ ニ ン グ セ ン タ を 設 備 し ま し た。平 成 25 年 にVX-1000と5軸制御立形マシニングセンタMX-520。平成26年にMX-520と立形マシニングセンタV.Plus-550。更に平成27年にはVX-1000を設備し、全部で6台が 稼動しています。特にマツウラの工場でMX-520を初めて見たときに、操作性・接近性・機械構造は、私が考 えていた5軸加工機のイメージに合致していました。またマツウラ機械色が当社の企業カラーと同じなので、運命的出会いを感じました」と保坂社長。

これからはQCDTが重要

「当社はQCD(品質、コスト、納期)を追求していますが、今後はこれにT(丁寧さ)を加えたQCDTを目指していきます。小型部品は丁寧に扱われますが、2、3人でハンドリングするような中型部品を加工する場合、加工と取扱いに注意しないと美観を損ないます。今後受注が伸びると予測している航空機の中型部品に備え、工作機械、また人材育成も含めてQCDTを徹底していくつもりです」と目標を語る保坂社長です。

 東大阪市は「下町ロケット」で注目を集めましたが、町工場が密集しているイメージでした。しかし、同社が核となり、東大阪の工場が必要に応じて自由に連動して、お客様のあらゆる要望にこたえる体制を構築していることに東大阪のモノづくりの強さを感じた取材でした。

会社情報

会社名
株式会社博洋エンジニアリング 様
本社
〒577-0036 大阪府東大阪市御厨栄町2-5-23
TEL
06-6782-5111
FAX
06-6782-6111
代表者
代表取締役社長 保坂 光男
創立
平成 2年
設立
平成15年
事業内容
各種金属素材(素形材Al・Mg含)の精密機械加工品の製造及び組立
URL
http://hakuyo-eng.co.jp/

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