トピックス

ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.144

製品カテゴリ:

高性能なニット丸編み機でグローバルビジネスを展開し続ける

株式会社福原精機製作所 様

 今回のユーザーを訪ねては、三宮から山鹿バイパス経由で北へ車で25分ほどの神戸リサーチパーク内にある株式会社福原精機製作所を取材しました。
 取材には取締役生産部部長・藤岡孝次氏と生産部次長・岡山敏弘氏に対応頂きました。
 編み機は横編み機と丸編み機に分類され、一般の家庭で使われているのは横編み機で、丸編み機は円筒状に編む機械です。
 同社は、このニット丸編み機専門メーカーとして世界で認められており、製品の95%を輸出しています。
 輸出先は、欧米を初め、中国、バングラディッシュ、インド、インドネシア、トルコ、メキシコ、コロンビア、オーストラリアなどです。
 以前は芦屋に本社と工場がありましたが、平成7年の阪神・淡路大震災により本社工場が全壊、平成8年に現在の神戸市西区に機械加工部門を集約した西神工場を竣工。
 平成19年に西神工場新社屋を竣工し、本社機能を移転統合して現在の福原精機製作所となっています。

編み機は近代日本のモノづくりの原点

 昭和初期には、同社の前身である内外精機と称し精密卓上旋盤や精密彫刻機を作り、国内や東アジアへ輸出していました。
 現在、本社ロビーで復元された卓上旋盤を見ることが出来ます。
 「以前は卓上旋盤も作っており、その名残で仕上げ課との名称が残っています。高精度な部品や組立て技術を駆使し、編み機のほかに工作機械や様々な機械を作っていました。前会長が、丸編み機専門メーカーとして経営方針を決め現在に至っています。現在の日本の工作機械メーカーの数社は、過去に編み機を作っていました。その意味で編み機を作る技術は、高精度な工作機械を作る原点とも言えます」と藤岡取締役。
 また「ニット自体が大きく変わってきました。以前はニットといえばメリヤス肌着が主力でしたが、野球のユニホームがだぶだぶの服から身体にフィットしたユニホームに変わり、また学校でもジャージが使用されるようになりニットの用途が格段に増えました。そして有名ブランドのロゴマークが入った付加価値の高いニットが出来たときには、ニットブームが起こりました」と岡山次長。
 現在では、写真やデザイン画をデータスキャンして織り込めるシステムの開発に力を入れています。
 更に、産業用資材及び医療などの非衣料分野にも進出しています。

世界初の技術を次々に開発

 同社で生産されている丸編み機は、「シングルニットシリーズ」、「ダブルニットシリーズ」、「エレクトロニックニットシリーズ」、「ガメントレングスシリーズ」、「ラップ機シリーズ」に分類され、数十機種が生産されています。
 「以前は老舗であったドイツが生産量ではトップでしたが、現在は台湾メーカーがトップを走っています。続いて日本、ドイツ、その後中国との順位です。技術開発を止めれば直ぐ追い抜かれる状況です」と藤岡取締役。
 このことを証明するように同社では世界初の技術を次々に開発しています。
 昭和37年に世界初の角型カムセットを採用。
 昭和49年に世界初のクローズド機構を採用した機種を開発。
 昭和53年に世界初の3ポジション・シングルニット電子柄編み機の開発。
 その後も数々の開発を重ね、平成19年に電子柄編み機で世界初の超ファインゲージ36ゲージを開発しています。
 「ニット技術、電子技術など約50名が純粋な開発者ですが、試作も含めて工場全体が開発スタッフと言えます」と岡山次長。

生産技術にマツウラのマシニングセンタを導入

 平成14年立形マシニングセンタ「MC-800VGII」を生産技術に設備しました。
 「生産現場は高精度な工作機械を設備していましたが、生産技術には同レベルの機械が無い状態でした。生産技術では、カム部品や、生産現場で使う加工治具を作るのですが、部品精度に問題が発生し開発に影響を与えたこともありました。生産技術というプロフェッショナルな職場ゆえに、安定して高精度加工の出来るマシニングセンタを設備しなければ、開発競争に負けるとの思いがあり、展示会や仕事先の工場などで情報を集めマツウラの立形マシニングセンタMC-800VGII の導入を決めました」と藤岡部長。

生産現場へ5軸マシニングセンタを導入

 平成19年に生産現場に5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-3VS」を設備しました。
 「生産現場で立形も横形マシニングセンタも4軸加工は行っていましたが、5軸加工は経験がなく様々な議論がありました。今までの4軸加工では、必ず取り外して最後の加工工程が必要でした。特に編み機の基幹部品であるカムフォルダーは、大きなリング部品から小さなブロック部品を作る為、9工程を要し、手間のかかる部品でした。これを工程集約し2工程で生産する方法として5軸加工機が必要との結論に達し、MAM72-3VS の導入を決めました」と岡山次長。

 MAM72-3VS は、40パレット標準装備で長時間無人運転が可能なので、同社でも一日24時間フル稼働しています。
 現場の担当者からも「高精度部品が安定して生産できるので助かっています」との評価を頂きました。
 現在の丸編み機の受注状況は、中々受注が決まらず、決まれば納期は出来るだけ早くを希望されます。
 同社は完全受注生産のため、完成在庫は作れません。
 それ故にMAM72-3VS の生産性の高さと多面パレットによる柔軟性が、短納期対応に大いに貢献しているとのことです。

 同社は兵庫県にありますが、福井県と縁のある会社です。
 田中栄雄会長、羽生敏勝社長は、福井大学工学部繊維工学科の出身で、その他一割の社員の方が福井出身です。
 現在福井大学繊維工学科は廃止され、福井からの採用は殆どないとのことです。
 しかし、福井県出身の方々が活躍している会社で、マツウラのマシニングセンタが稼動していることに福井県人として嬉しく思った取材でした。

会社情報

会社名
株式会社福原精機製作所 様
所在地
〒651-2242 兵庫県神戸市西区井吹台東町7-3-5
TEL
078-997-8800
FAX
078-997-8806
代表者
代表取締役社長 羽生 敏勝 氏
創業
昭和31年10月26日
従業員
220名
主製品
ニット丸編み機、及び編み機用デザインシステム

BACK NUMBER & CATEGORY

Page TOP