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ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.161

製品カテゴリ:LUMEX Avance-25

金属光造形複合加工機「LUMEX Avance-25」の技術を使い金型から射出成形まで“モノづくり革新”目指す

株式会社メイク 様

今回のユーザーを訪ねては、JR東海道本線『共和駅』より徒歩10分の株式会社メイクを取材しました。取材には倉知厚徳社長に対応頂きました。倉知社長は高校卒業後、金型メーカーに就職し、27歳で独立。「父親より“金型は不況がないので、10年で独立するつもりで頑張れ”の一言を信じ金型メーカーに入社しました。金型について多くを学び、10年を迎えず独立しました」と倉知社長。「社名メイクの由来は、“作る”の英語“MAKE”をヒントにしました。有名企業は3文字が多く、また覚えやすいので3文字にこだわりました。しかし、アルファベット表記は“MAKE”ではなく、“MEIKU”とローマ字読みです。“MAKE”はローマ字読みだとマケと読めるので印象が良くないと考えました。海外のお客様と名刺交換すると、この説明で打ち解けます」と倉知社長。

 独立当時は、実家を改造して創業。平成14年に愛知県東海市に東海工場を開設、そして平成17年に現在の愛知県大府市に新工場を移し、金型設計・製作と射出成形による樹脂部品製作を行っています。「創業当時は、金型メーカーの部品下請けでした。3年後にようやく金型の製作依頼が入りました。現在は、自動車の内外装部品が中心で、例えばドア開閉のインサイドハンドルやカップホルダーなどの部品を金型から射出成形、そして一部組立まで行っています。月平均160万個の部品を作っています」と倉知社長。

金属光造形複合加工機「LUMEX Avance-25」を設備

射出成形加工では、金型には問題がないが、成形時における変形やガスによる焼けなど成形不良が生産中における大きな問題となっていました。また金型ユーザーは、コスト低減が最大のテーマとなり、安価な金型や樹脂成形品を求めていました。倉知社長は、将来に希望が持てる新しい加工方法を模索していました。「平成14年に金属光造形複合加工機の開発ニュースは聞きましたが、高価であり中小企業では設備できないと思っていました。その後も何度か情報を聞いていましたが、平成24年に再度詳細情報を入手し補助金を使っての導入を考えました。新あいち創造研究開発補助事業に『高機能金型を用いた複雑形状プラスチック製品の成型技術確立と生産性向上の研究開発』で事業計画を提出し、申請が通り導入メドが立ちました。導入を決めてマツウラの東京フォーラムセンターで行われたセミナーに社員と共に参加。その時、新しい加工技術に“ワクワク出来る仕事になる”と社員の目が輝いているのを見て正式導入を決断しました」と倉知社長。そして、平成24年10月に金属光造形複合加工機「LUMEXaAvance-25」を設備。そして、今までの金型事業部の名称を、将来金型だけでなく金属全般に業務を広げる意味で金属事業部と変更しています。

補助金を申請し金型製作に挑戦

「導入初年度は、補助金事業で金型開発に取り組みましたが、金型を作り射出成形で完成品が出来ても何故うまくいったのか分からない状態でした。お客様も積極的ではありませんでした。金型はお客様の資産になるのでお客様が金属光造形複合加工技術を使って金型を作ることに同意されなければ作ることが出来ません。そんな中、平成25年6月1日の日本経済新聞の1面に“パナソニックが金属光造形複合加工機を使って金型を作り、コスト3割削減”との記事が掲載されました。次の日から様々な業種から問い合わせがあり注目を集め始めました」と倉知社長。

 同社は、再度補助金制度を活用し、金型製作に挑みました。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に『定置用蓄電池(ESS)向けプラスチック筐体の成形加工に関する高度化技術の開発』を申請し採択されました。金属光造形複合加工法により、肉眼では見えないほどのポーラス構造(多孔質構造)を作り射出成形金型のエア抜き問題を解決。また金型の中に冷却回路を螺旋状に組込むなど新発想での金型製作を行いました。その実績をお客様にアピールすることで、金属光造形複合加工法による金型製作の認知が上がっていきました。

5軸制御立形マシニングセンタ「MX-520」を設備

 「LUMEXの導入と、NEDOを活用して金属光造形複合加工方法による新発想の金型製作と、その金型を使っての射出成形による樹脂部品製作までの一連の実証が行えました。但しLUMEXは全ての金型が出来る夢のような機械ではなく、その得意とする技術を如何に金型に取入れるかが重要と考えています。そこでLUMEXで通常の加工では出来ない金型を作り、その金型を更に高精度化するために5軸加工機の導入を検討しました。今度は、経済産業省の『円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業補助金』を申請し採択され、平成25年12月にマツウラの5軸制御立形マシニングセンタMX-520を設備しました」と倉知社長。

 倉知社長は、金属光造形複合加工技術の認知度を上げるために、積極的に講演会や雑誌の取材に対応されています。「中小企業にとって事業化は絶対です。事業化のメドが立ち始めたので講演が出来ます。今年1年間は、講演で金型の高度化について語っていくつもりです。講演は本職でなく大変ですが、興味を持たれた多数の方々と名刺交換できます。その中には、中小企業の社長が直接会えないような方もあり、次のステップに繋がればと思っています」と倉知社長。

言葉を大事にする経営

 倉知社長は、会社の進むべき方向を示すために「人創り、物造り、信頼作り」という経営理念を掲げています。倉知社長の写真に経営理念が書かれた額が見えますが、右横から2文字目を続けて読むと「創造作り」と読めます。モノ作りを通じて、新しい事業を創造していくことも表現しています。また社内の意識改革として「思考の改善」とのテーマで取組んでいます。「言葉・表情・動作・イメージ・感謝の5つをプラスに転ずる。一つ、言葉をプラスに。二つ表情をプラスに。三つ、動作をプラスに。四つ、イメージをプラスに。五つ、感謝を忘れずに」を掲げ、金属光造形複合加工技術など困難な挑戦にひるまず、また失敗してもプラス思考で前に進む企業を目指されています。

 倉知社長は、日本のモノづくりが海外移転する中で、コスト競争でなく、付加価値を付けたモノづくりが必要との問題意識を持ち続けていました。そんな中で補助金申請から金属光造形複合加工機導入、また3Dプリンタブームでのこの技術が注目され、確実に事業化を進めています。この取材を通じて、金属光造形複合加工技術が、同社内で実証され、また確実に成長していることに大変嬉しく思いました。

会社情報

会社名
株式会社メイク 様
工場
〒474-0071  愛知県大府市梶田町1-23
TEL
0562-45-4680
FAX
0562-45-4681
本社
〒457-0863  愛知県名古屋市南区豊2-34-2
E - M a i l
info@ meiku59.co.jp
代表者
代表取締役社長 倉知 厚徳
創 業
平成2年3月
設 立
昭和19年9月
従業員
60名
事業内容
金型設計・製造、射出成形による樹脂製 品の製造及び組立
URL
https://www.meiku59.co.jp/

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