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ユーザーを訪ねて

2021年新春号のユーザーを訪ねて

No.184

製品カテゴリ:MAM72-35VCUBLEX-35

試作部品を「高度な技術と短納期」をモットーに創意工夫し、お客様の要望を実現。

有限会社稲垣工業所 様

 今回のユーザーを訪ねては、東名阪自動車道の長島ICから車で3分の距離にある有限会社稲垣工業所を取材いたしました。取材には稲垣孝子代表取締役社長、藤岡衣里取締役に対応頂きました。
 同社は昭和45年に稲垣社長の父である稲垣和三前社長が三重県桑名市長島町にて創業しました。もともと農業を営んでいた和三前社長ですが、親戚の勧めによって産業機械軸受けの製造を始めました。創業当時は3人で会社を立ち上げ、最初は新幹線向けのベアリングを製造しました。ベアリングや自動車関係部品などを手掛けられ、顧客からの信頼が大きくなるとともに工場も3度の増築で大きくなりました。現在では複数台のMC機等を設備しており、特殊部品や試作部品といった高度な部品も希望納期にて納品することに強みを持っています。

稲垣社長は女性初のマツウラNCスクール受講生

 稲垣社長は学校卒業後、3年間栄養士として勤められたのちに同社へ入社しました。「入社当時は人手が足らなかったため、事務作業や製品の配達なども含めて一通りの仕事をこなしていました」と稲垣社長。
 さらにはNCプログラム作成を習得するため、当社が開講していたNCスクール(現マツウラスクール)に女性で初めて参加して頂きました。それからは、現場にも立ってテストカットや測定なども行い、製造現場において技能を身に付けていきました。その後は、生産管理や営業活動、経営全般に関しても担当され、平成14年に社長へ就任されました。

マツウラとの出会い

 同社とマツウラとの出会いは昭和50年にNCフライス盤の設備が始まりでした。初めてのNC機を設備した当時、同社の工場設備はラジアルボール盤と直立ボール盤などが5台、測定ではノギスを用いるだけでマイクロメーターは見たことも聞いたこともないという状態でした。和三前社長は松浦機械製作所の名を知らず、地元商社の勧めで購入を決定。創業間もない頃から最新機器を設備していく姿勢が伺えます。
 昭和56年に同社のマシニングセンタ1号機としてMC-1000V4を設備し、昭和63年に5台目のマツウラ立形マシニングセンタとしてピンク色のRA-2を設備しました。この機種は稲垣社長が見本市で見たピンク色の機種を気に入り、実際にオーダーされました。それから現在まで16台のマツウラ製マシニングセンタを設備頂いています。そのうち、10台のマシニングセンタがピンク色で明るい工場です。
「MAM72-35VやCUBLEX-35をメインに使用していますが、使い勝手が良く、精度も良いため、生産に役に立っています。今後も機会があれば松浦機械製作所の機械を再び選びたいと思っています」
「マツウラの機械を選んで良かった点はサービスマンの質にもあります。メンテナンスや修理を依頼するとスマートに対応してくれる姿は頼もしいですね。GibbsCAMに対するサポートにも満足しています」と稲垣社長。

5軸複合マシニングセンタCUBLEX-35を設備

 平成29年11月にマツウラの5軸複合マシニングセンタCUBLEX-35を設備しました。この機種はマシニング+旋削+研削の3機能を1台に集約したマツウラのフラグシップマシンとなります。同社で加工される自動車部品は、従来、旋盤加工機とMC機の2工程を行っていました。CUBLEX-35を活用することによって2工程を1工程に集約。段取り替えなどの時間や手間を省くことができ、工数削減に繋がっています。

難度の高い試作加工も希望納期で納品

 20年ほど前から24時間稼働を行い、希望納期に納品する為に様々な工夫が施されています。得意先からの要望を「できない」から「できる」へ変えることができるよう最新鋭の設備と工夫で対応しています。
 短納期実現に一役買っているのが、同社に設備されているマツウラの多面パレットシステムで、PC32のMAM72-35Vが2台、PC2のマシニングセンタが5台稼働しています。
「パレット番号ですぐにワークを呼び出せることやジグを付けたままで稼働させ続けることができることは非常に便利です。この機能のおかげで少人数でも少量多品種の加工を管理できます」と稲垣社長。
 その他に短納期実現のため、発注されてからすぐに生産に取り掛かれるようジグを内製することや、愛知県や岐阜県にアクセスし易い地の利を活かして夜間であっても品物をすぐに届けるといった小回りの利いたサービスを展開しています。
 今後の展望としては、新規品開拓にも積極的に取り組んでいくとのことで、モータースポーツ関連などの新しい分野にも挑戦されています。農業から一念発起して金属部品加工業を立ち上げた創業当時のアグレッシブさは現在も健在のようです。


 鮮やかなピンク色の機械がずらりと並ぶ光景は圧巻でした。機械には注意事項や手順を記した紙が貼ってあり、細かな配慮を感じ取れました。取材中にも終始配慮くださり、このような心遣いが同社のモノづくりにも活きていると感じる取材でありました。
 インタビュー風景と工場風景の動画は、記載のQRコードを読み取り、ご視聴頂くことができます。また、当社ホームページでも公開中です。ぜひご覧ください。

会社情報

会社名
有限会社稲垣工業所 様
本社
三重県桑名市長島町西川879-17
TEL
0594-42-0410
FAX
0594-42-3636
役員
代表取締役社長 稲垣 孝子
設立
昭和45年12月25日
従業員
12名
事業内容
自動車部品の試作品及びIT機器部品加工、航空機用精密部品加工

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