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ユーザーを訪ねて

2017年4月号号のユーザーを訪ねて

No.169

製品カテゴリ:MX-520MAM72-35VV.Plus-550

航空機や国産ロケット、更には宇宙ステーションなどの部品から食品関連機械製造まで事業を幅広く行う

有限会社名南機械製作所 様

 今回のユーザーを訪ねては、名古屋名鉄本線本星崎駅 から徒歩6分の有限会社名南機械製作所を取材いたしま した。取材には久末良明生産部長にご対応頂きました。 昭和45年に小林社長のお父様である小林國男会長が創 業されました。小林会長は、名古屋の大手重工業で航空 機部品を製作する部署で業務されていたので、独立して 引き続き航空機部品製作を当初から行っていました。創 業の地が、名古屋市南区なので会社名を、名南機械製作 所とされました。

 「小林会長は、7人兄弟の長男です。それで、兄弟全 員を集め全員が家を建てるように頑張ろうとの決意で事 業を始めました。今も役員や工場長として頑張っていま す。私の父は、会長の弟で専務職にあります。また生産 副部長・営業主任は私の弟です。当社は、兄弟や縁者が 中心で事業を行っているので、無理が利き結束が固いの が強みです」と久末部長。

未来を見つめる経営理念

 同社の経営理念は  「豊かな創意と工夫と熱意で信頼のものづくり。私た ちが目指すものは空に海に大地に、そして宇宙に。最先 端の技術が輝く社会を常に未来を見つめ、私たちはこの 情熱と感動を技術で“かたち”にしてまいります」

 この理念通り、大手重工業からの依頼を受け、月に 700種類ほどの航空宇宙関連部品や冶工具を製作して います。例えば、ボーイング777や787、国産ジェッ ト機MRJや国産ロケットH2AやH2B、更には宇宙ス テーション補給機HTVなどの部品製作を行っていま す。

 「大手重工業の航空宇宙関連部品を製作するために、 平成19年に品質マネジメントシステムMSJ4000認証 を取得しました。これは航空宇宙業界のスタンダード要 求であるJISQ9100に大手重工業の航空宇宙部門の独 自要求を追加したものです。初めて加工する部品に関し ては、加工する機械・工法・冶工具を申請し、試作加工 を申請通りの機械や工法で加工します。その後は試作品 と同じ品質を変えないように申請通りに加工します。新 しい設備を導入した場合には、再度申請が必要です。以 前、国産航空機YS11の修理部品製作依頼がありまし た。製作当時は倣い削り機械で行っており、加工機械は 既に廃棄していましたので、新しい機械で再申請し加工 を行ったことがあります。航空機はリピート部品が殆ど で、一度部品を製作すると10年は作り続けないといけ ない業界です」と久末部長。

新規分野への進出

 同社の主力は航空宇宙関連部品ですが、近年航空機関 連の部品が減少してきています。これは様々な地域で航 空機関連部品製作に向けたクラスタプロジェクトが進行 している影響もあります。航空機部品製作で培った技術 力を強味にして新しい分野への進出を同社は挑んでいま す。

 「航空宇宙関連の仕事をすることで、他業種からの依 頼が増えています。当社の方針の一つに“どんな依頼も 簡単に断らない”があります。お客様が困ってお声をか けてくださったら誠心誠意の対応を心がけています。愛 知県は工作機械メーカーも多いので、工作機械関連部品 の製作、また食品関連から豆乳を搾る機械の部品製作・ 組立ての依頼もありました。また近年では名古屋大学や 名古屋工業大学などの連携で医療や福祉関連の新製品開 発にも挑戦しています」と久末部長。

 同社には一般機械部品製作以外に金属試験品加工事業 があります。大手鉄鋼メーカーから“試作片等の加工” 認定を受け、支給される試験材料から試験用途に従っ て、衝撃試験、硬さ試験、引張り試験用部品をJIS規格 などに合わせて製作しています。

5軸制御立形マシニングセンタMX-520を設備

 「当社工場では、多数の3軸マシニングセンタや複合 NC旋盤を設備して、航空宇宙関連から様々な部品製造 を行っていました。10年前から多面パレットを装備し た5軸加工機を検討していましたが、加工機械入れ替え のタイミングが合わず、また不景気も重なり実現出来ま せんでした。いよいよマツウラの5軸制御立形マシニン グセンタMAM72-35Vを設備しようと計画しました が、5軸加工機が初めてなので、パレット無しの5軸制 御立形マシニングセンタMX-520を平成27年10月に設 備し、5軸加工に注力して技術力を高めました。そし て、平成28年12月にMAM72-35Vを設備して、当初 の目標であった多面パレットを使った5軸加工に挑戦し ています。将来的には、冶具やCAD/CAMを駆使して 単品加工をMAM72-35Vで行えるようにする計画で す」

 「当社の従来加工機は重切削が主流でしたが、 MX-520で主軸回転数12,000の高速加工を経験し、高 速加工による生産性向上の重要性を認識しました。そこ で同じ主軸回転数の立形マシニングセンタV.Plus-660 を平成28年6月に設備しました。今後は高速切削加工 を当社の主流にしていくつもりです」と久末部長。

海外進出を目指す

 「当社の業務は、お客様より加工図面やモデルデータ が支給され加工を行っています。将来的には、お客様の 設計担当者と打ち合せを行い、加工から意見が言えるよ うな技術集団に企業体制を構築していきたいと考えてい ます。その為にも最新の加工機、またCAD/CAMを自 在に扱える人材育成に取り組んでいます。更に今後の方 向として海外進出を検討しています。大手重工業が東南 アジアでの航空機部品生産を行っており、当社も海外進 出の必要を迫られています。現在、東南アジア出身者が 7人働いています。彼らの中にはCAD/CAMの操作が出 来る人材もいるので、海外進出時には、中心的役割を担 うことも可能と思っています」と久末部長。


 航空宇宙産業は、成長産業として注目を集め、各地で クラスタが立ち上がり航空宇宙産業への新規参入が新聞 紙上でもよく目にします。しかし、ボーイングの航空機 777の減産や国産ジェットMRJの納期延期などで楽観 できる状況ではないと知りました。同社は長年航空宇宙 産業に携わり、このブランド力をバネに新規分野への体 制変革が進行していることを実感した取材でした。

会社情報

会社名
有限会社名南機械製作所 様
本社工場
〒457-0063  愛知県名古屋市南区阿原町39
TEL
052-823-2810
FAX
052-824-4107
大同工場
〒457-0801 愛知県名古屋市南区丹後通1-1-14
柴田工場
〒457-0816 愛知県名古屋市南区元柴田東町4-16-1
代表者
代表取締役社長 小林 幸雄
創 業
昭和45年
設 立
昭和60年
従業員
76名
事業内容
航空宇宙機器部品、冶工具、機械設備、 構造部品、各種試作品などの加工
URL
http://www.meinan-kikai.co.jp/

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