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ユーザーを訪ねて
号のユーザーを訪ねて
No.148
製品カテゴリ:MX-520
自動車関連の量産加工を主力にしながら自社ブランド製品を持つ夢を実現している
池田工業株式会社 様
今回のユーザーを訪ねては、JR東海道本線の刈谷駅から車で西に5分ほどにある池田工業株式会社を取材しました。取材には池田裕幸社長に対応頂きました。創業は池田憲司会長で池田裕幸社長は2代目となります。大手自動車部品会社の協力会社として創業し、現在までその関係を保っています。月産3万個から50個までの量産加工が主力であり、マシニングセンタ80台以上、NC旋盤50台以上が6工場で稼動しています。池田社長は「後を継ぐことは子供の頃から決めていました。しかし大学は違う分野を勉強したいと思い化学系の大学へ進みリチウム電池の研究をしていました」と。大学卒業後、取引先である大手企業へ研修に入り、4年間生産技術・製造ライン・試作課と加工について学びました。研修終了後、同社に戻り、平成15年に社長に就任し現在に至っています。
エネ革税制に対応して5軸加工機を導入
同社の主力は自動車部品でジャスト・イン・タイムに対応するために1日2回の出荷が必要です。定期便のトラックが回り、その車の運行に合わせて出荷管理がされています。量産加工に対応した生産設備が導入されてきました。工程分割による生産方式が取られ、1台が専用機的な使用になるために3軸制御立形マシニングセンタが殆どです。
「製造業の将来を考えると、量産品は市場の近くで生産するために海外シフトが進行すると予想しています。当社は量産中心から少量生産、また試作への移行を検討する時期に来ていました。そこでワンチャックで加工でき、またエネ革税制の対象機種である5軸制御立形マシニングセンタの設備導入を検討しました」と池田社長。そして、平成23年3月に5軸制御立形マシニングセンタMX-520を導入しました。工場を見学すると入り口の一番良い場所に設備されており同社のMX-520に期待の大きさを実感しました。また実際の加工では、テーブル上にバイスが2台置いてあり、一台は通常のバイスでしたが、もう一台は口金が大きく上部に上がった形式のものです。これは、傾斜軸を傾けた場合に主軸とインデックスとの干渉を避けるための特別仕様でした。様々な加工経験を有している現場なのでバイスを一つとっても工夫がされています。「試作では角度割り出しが必要な加工が多数あります。MX-520は、精度もよく、操作性も良いので生産効率が上がります」と新村工場長の評価です。
独自の生産管理システムの運用
自動車関連部品製作では、ジャスト・イン・タイムでの生産管理が求められ、同社でも様々な工夫を凝らし基幹システムを構築してきました。ある時池田社長は、経済産業省が推進するIT経営応援隊事業「経営者研修会」に参加され、「何のためのIT導入か?」を突き詰められ、新たな基幹システムの構築を推し進めました。旧システムとの仕組みの違いで、製造現場で問題が発生したりしましたが、社員が自発的に問題解決に取組み、生産性向上に貢献できるシステムへと成長しています。その結果、経済産業省が主幹する「中小企業IT経営力大賞」に応募し、平成18年IT経営百選奨励賞受賞、平成20年IT経営力大賞「優秀賞」受賞、そして平成21年にはIT経営力大賞「大賞」を受賞しています。同社は経営戦略・IT戦略に基づき徹底した人材育成を進め、基幹業務システムにより受注から出荷までの全工程を見せ、経営情報の全社最適化による総合的なIT経営を目指しています。このシステムから派生し、「見える化キット」として米国アップル社のiPadを使った現場で、進捗状況や不良数の確認が簡単に出来るシステムの外販も行なっています。
創成塾による社員教育
同社もリーマンショック以後経営的には大変厳しい状況に追い込まれました。雇用調整助成金を申請し、社員教育に取り組みましたが、その場限りで終わるのではなく、体系的に人材育成を進めたいとの池田社長の提案で平成21年2月「創成塾」という社員教育システムを立ち上げました。「創成塾」の名前は、企業文化を創造・育生するとの思いが込められています。
当初は、社内ベテラン社員が講師役を務め、若手社員に必要な知識、技能を伝えるスタイルでした。現在、技能以外に池田社長や経営幹部が講師となり、様々な分野が取り上げられています。「本日も5時から30分間創成塾があり、私が講師を務めます。講師として人に教えるためには自分が勉強しないといけません」と池田社長。
自社ブランド“イケダプロダクト”
池田社長は、子供のころはプラモデル製作に夢中になり、高校時代ではオーディオ装置に懲り、スピーカーも自作するほどモノづくりが好きであり、いつかは自分で新しいモノづくりを行ないたいとの夢を持っていました。社長就任以降、その夢を実現すべく、様々なトライを重ね、ようやく“イケダプロダク
ト”というの自社ブランドの製品を立ち上げました。世の中では小型の音楽プレーヤーや携帯電話が音楽再生機能を持ち、通常はヘッドホンで音楽を楽しんでいます。しかし自宅に帰ったとき、また友達と一緒に音楽を楽しみたい時に音量を上げて楽しむためには専用の外部機器に接続しないといけない状況でした。「どこでも簡単に、また電源も要らない外部スピーカーが作れないか」と池田社長は考え、試作を繰り返しました。そして、携帯電話iPhoneを置くだけで音を大きく出来る製品iHornを完成させました。音質にも拘り深みのあるダブルホルンです。構造はシンプルで、iPhoneのスピーカー部から出た音をホルン形状の溝で増幅させています。同社が培ってきたアルミ合金を切削する技術を駆使し全て削り出しなので、重量がありiPhoheが倒れることはありません。更に省スペースで普及タイプとしてシングルホルンタイプのiHorn miniを完成させました。この商品はデザイン的にも工夫がされ、色をシルバー、レッド、ブルー、ガンメタリックと揃え、インテリアとしても充分優れた商品となっています。その他にもiPad専用のPadbaseという商品も開発しています。今年5月25日から27日に大阪で開催された「中小企業総合展」に出品し、様々な反応があり実際に販売も出来たそうです。中にはインドの方が購入され、既にインドの地でiHorn miniが活躍しているとのことです。その後も新聞・テレビでも紹介され注目を集めています。更には、今年8月13日~17日にアメリカ・ニューヨークで開催される国際ギフトフェアーにも出品が決まっておりグローバルな展開が企画されています。実際の加工はMX-520 で行なわれています。
自動車部品の量産工場は、3.11の東日本大震災、また円高などの影響で、リスク分散のために更に海外生産へのシフトが進むとの憶測があります。この様な環境下にあり、同社も本業の量産加工に関しては品質、納期を日々の改善でブラッシュアップを進めています。また自社ブランドを持つとの志を貫かれ一歩を踏出しています。自社ブランドを持つことが社内の活性化に大いに貢献しています。IT時代なので多様な販売ルートはあらゆる可能性があり、“イケダプロダクト”が大きな注目を集める日も近いと感じた取材です。
会社情報
- 会社名
- 池田工業株式会社 様
- 本社
- 〒448-0847 愛知県刈谷市宝町2-3-7
- TEL
- 0566-21-0140
- FAX
- 0566-26-5140
- info@.ikeda-ind.co.jp
- 代表者
- 代表取締役社長 池田 裕幸
- 創業
- 昭和28年4月
- 設立
- 昭和43年4月
- 従業員
- 65名
- 事業内容
- カーエアコン部品、フォークリフト部 品、繊維機械部品製造、治工具類設 計・製作、自社ブランド「イケダプロ ダクト」の製造・販売
- URL
- https://www.ikeda-ind.co.jp/