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ユーザーを訪ねて

2020年4月号のユーザーを訪ねて

No.181

製品カテゴリ:MX-330

経験豊かな熟練工と発想豊かな若いスタッフによる受注から組立までの一貫生産体制。

三研光機株式会社 様

 今回のユーザーを訪ねては、JR高崎線・上尾駅から車で15分の距離にある三研光機株式会社を取材いたしました。取材には堀越琢磨社長、瀨田博之工場長に対応頂きました。
 同社は昭和37年に堀越社長の祖父が埼玉県さいたま市北区(旧大宮市)日進町にて創業しました。創業当初の事業は堀越螺子製作所として、ネジの製造から始まりました。その後、規模拡大に合わせて移転を行い、現在の所在地にて光学系機材の部品を中心とした高精度な部品を多品種少量生産にて製造しています。

三人寄れば文殊の知恵:三研光機のなりたち

 同社は昭和37年にそれまでの堀越螺子製作所という社名から、三研光機製作所という社名に変更、昭和44年に現在の三研光機株式会社に改組しました。現在の社名の由来は、当時会社の中核を担っていた堀越社長の祖父、父、叔父の3人で頑張って研究していこうという想いから、三研となりました。光機は光学部品が主力製品であったので社名に入れました。
 現在の堀越社長は3代目となります。「跡を継ぐことを意識して前職の会社へ入社しました。27歳で三研光機に入社して製造現場で10年間モノづくりに携わりました。その後、社長職を任され、私が着任した直後から先代は一切経営や営業には関わらなくなりました。私は右も左もわからず、1つ1つ調べながらお客様など対応に当たっていたことを覚えています。話を聞くと、『先代がまだ現役で何をするにしても先代に相談しないといけない』というケースも多いようで、今となれば良い経験だったと思います。しかし、先代が助けてくれていたのだと思います」と堀越社長。堀越社長のご子息も平成31年4月に同社へ入社し、現在では旋盤加工業務を担当されています。

ねじの製造から光学部品製造へ

「当社はねじの生産からスタートし、光学部品を扱うきっかけになったのは、写真を現像するミニラボの部品生産でした。現在では、SF映画等で有名な映画監督も使用しているデジタルシネマカメラのズーム機構や筐体、映画を投影するような業務用プロジェクタ部品など、業務用光学部品が主要製品となっています」と堀越社長。
 同社が生産する製品はその時代のトレンドを反映しており、3D映画が流行した影響で3D映像関連の受注が活況となり、またワールドカップで利用される4K映像関連の受注が多くなってきているようです。特に4K対応カメラは高い精度が求められるため、同社の技術力が活かされています。

多能工が会社の文化

 同社はアルミ材料の加工が大半で、オペレータは段取りから加工まで実施しています。多能工として一貫生産している体制が高い精度の部品が生まれる理由の1つとなっています。「採用に関して、中途採用は必ずしも加工作業経験者とは限りません。未経験者は先入観やクセがなく、良いものができると感じています。当社ではOJTで各個人の力量を上げています。その際に重要なことは競争意識で、うまくなりたいという欲求を引き出しつつ、各個人の得意な部分を見出して伸ばすようにしています」と瀨田工場長。

「新卒採用については、当社の近くに埼玉県立中央高等技術専門校という学校があり、一昨年から学生のインターンシップを受け入れています。インターンシップを通じて毎年1名入社しており、昨年は汎用旋盤を使える学生がインターンシップに参加し入社。現在では73歳の職人が付きっきりになって一緒に加工をしています」と堀越社長。同社では、熟練の技を持つ職人と若いスタッフがお互いを尊重し技術力を高めていることも社風の1つです。

5軸制御立形マシニングセンタMX-330 PC10を設備

 同社は令和元年1 0 月に1 0 面パレットを有するMX-330 PC10を1台設備しました。「当社では旋盤加工がメインでありましたが、お客様よりフライス盤設備が弱い、と指摘がありました。マシニングセンタ導入を検討し始め、精度が高いという点からマツウラのマシニングセンタに絞りました。中でもMX-330を選択した理由は、今後光学部品以外も生産できるように5軸機が必要であるとの判断でした。現在、MX-330では空圧部品を生産しておりほぼ100%で稼働しています。夜中も無人稼働しており、機体にネットワークカメラを取り付け、異常の際にスマホですぐ確認できる工夫もしています。平成8年にはGibbsCAMを導入し、その後GibbsCAMに長けた人材が入社しました。このこともマツウラのマシニングセンタ設備を決めた理由です」
「このMX-330は、お客様に対して三研光機に依頼すれば、何でもできるというPRにもなると考えています。今後は、日中にオペレータが付いて高付加価値製品を生産し、夜間には量産品を生産できるような体制にしていくことも計画しています」と堀越社長。

100年企業を目指す

「当社は51期目を迎えました。私の夢はこの会社を100年企業にすることです。同業の企業では、廃業している企業も最近多くなりました。BCPに関する課題など解決すべきことは多くありますが、この会社を100年続く企業にする為に若い人を積極的に登用していき、熟練工には持っているモノを次の世代に引き継いでもらいたいと考えています」と堀越社長。
 今後は一貫生産体制の強みを活かし、異業種の部品製造についても受注を取り込んでいきたいと今後の展望について堀越社長は語っていました。


 工場を見学させて頂いた際、社員通用口近くの掲示板にはプロフェッショナル向けカメラレンズのカタログが掲示されていました。掲示している理由について堀越社長に尋ねると、「社員自身が手掛けたモノが最終的に素晴らしい製品になっていることを社員に実感してもらうためです」と語っていました。ホームページにも掲載されている“ せっかく「ものづくり」をしているのだから、自分たちで世の中に役立つものをつくろう”という想いが、掲示板からも溢れていました。

会社情報

会社名
三研光機株式会社 様
本社
埼玉県上尾市中新井404-16
TEL
048-725-0330
FAX
048-725-0331
役員
代表取締役 堀越 琢磨
創業
昭和40年10月
設立
昭和44年7月
従業員
24名
事業内容
光学部品、精密機器等の製造

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