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ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.151

製品カテゴリ:MX-520

精密機器の開発・製造と精密部品加工分野でクリエイティブなハイテク企業を目指す

アポロプレシジョン株式会社 様

 今回のユーザーを訪ねては、京急久里浜線の北久里浜駅から車で南に5分ほどの久里浜工業団地内にあるアポロプレシジョン株式会社を取材しました。取材には滝澤淳一社長にご対応頂きました。「初代社長は父で、今年は設立42年目となります。設立当時の会社名はアポロ精機株式会社ですが、昭和45年当時アメリカのアポロ11号が月面着陸したことから、ヒントを得てアポロ精機としたそうです。当時アポロの名前が付いた企業が多くあったと聞いています」と社名由来を語る滝澤社長。

 設立当時から、横須賀の地の利を活かし、大手企業への様々な装置製作を行っていました。その装置の設計から電気制御、ソフト開発も行い、メカトロの先駆的企業です。滝澤社長は、学校卒業後、車の整備会社に就職して車の整備を通じてモノづくりの基礎を学び、その後同社に入社、そして平成13年に社長に就任され現在に至っています。

XYZステージの開発

 同社の主力製品は観察・測定用のXYZステージです。平成12年に大手商社との協力により「超深度カラー3D形状測定レーザー顕微鏡用ステージ」の開発を行い、KMAシリーズとして出荷を開始しています。レーザー顕微鏡が組み込まれた同社のステージは、工場の生産ラインで様々な部品や基盤などの検査用途で使用されています。ステージは防振のハニカム構造のベース上をテーブルがXY軸で移動します。
テーブルはお客様の要求でアルミの板や、吸着パットなど様々な形状があります。大手レーザー顕微鏡メーカーと共同で営業を行い、お客様の生産ラインに適合したテーブルの作成、販売を手がけています。レーザー顕微鏡用以外にも、部品の変形を測定する計測用のテーブルなど難しいテーマに挑戦し、その技術力を蓄積しており、同社の主力製品になっています。今では大手電機メーカーの生産ラインで一度に10台以上設備されるなど、着実に実績を上げています。

精密加工部門の強化

 同社はメカトロ技術を基に様々な装置を手がけてきました。当初は、装置に必要な部品は外注で製作を委託していましたが、品質や納期の問題があり6年程前から加工設備を導入し自社内で加工を始めていました。数台の立形マシニングセンタ、NC旋盤、旋盤ベースの複合加工機などの設備がありましたが、平成19年に加工プログラムの効率化の為にマツウラが販売するCAD/CAMシステムGibbsCAMを導入したことが、マツウラとの出会いです。そして平成23年2月に5軸制御立形マシニングセンタMX-520を設備し、本格的に5軸加工を取り入れました。「XYテーブルは当社の主力製品ですが、もう一つの柱に部品加工を育てたいと考えていました。同じ加工をしている仲間に次に設備するにはどんな設備を入れるのかと助言を求めたところ、次は5軸加工機と返答され検討を行いました。他社の5軸加工機と比べるとMX-520は当初から5軸に特化した設計なので、操作性に優れていると実感し、マツウラに決めました」と滝澤社長。

社長自らがトップセールス

 「当社は、様々な装置を設計から製作まで行なってきました。この仕事は技術力がないと認められない仕事であり、開発部門と深い関わりあいが必要です。この装置製作を行なっていた経験が、部品加工の営業をやる上でも活かされています。私自ら営業として全国を飛び回り、地道にお客様の元に通い、コミュニケーションを重ね数年かかって試作などの部品加工を受注しています。近年5軸加工機が必要な仕事が増えているのを実感しています」と滝澤社長。

 横須賀市近辺の会社は、造船や車の会社が多く、加工品は鉄系が中心です。同社が得意とするのはアルミやステンレスなので、全国にお客様を展開しています。近年エンジアリングプラスチックなどの新材料も増えて、かつ精度が要求されています。現在着実に実績を上げ、部品加工分野は同社の柱に成長しています。

難しいものを仕事にする

 「昨年20代の若手が二人入社し、今年春には高校の新卒者が入社します。ここ3、4年は人材確保を進めています。首都圏の若者は仕事がたくさんあり、モノづくりで働きたいと希望する人が少ないので、地方へも募集をかけています。若い人はパソコンなどIT技術に慣れているのでGibbsCAMで経験を積ませています。しかし、加工条件などは、経験者が優れているので、GibbsCAMを中心に情報交換できるように仕掛けています」と滝澤社長。先日も1台納入され、合計3台のGibbsCAMがフル稼動しています。

 「MX-520を設備しましたが、フルの5軸加工はありません。しかし、一回の取り付けで様々な方向から加工出来るので段取りを変える手間が省け、また治具製作が容易です。この利点を活かし、当社では、形状が難しく加工数の少ない仕事を受注したいと思っています。難しい仕事に挑戦することで人材が早期に育成できると考えています。また現在の引き合いでは、旋盤を使う丸モノの試作が増えています。丸モノの量産を行なう会社はありますが、試作が出来る会社が少ないので当社で受注が取れます。当社には1台の複合加工機が有りますが、操作性に優れているマツウラの5軸複合加工機CUBLEXに関心があります」と滝澤社長。

人材育成への思い

 「私は、自動車整備の経験があります。当時車の塗装で調色の技術は10年で一人前と言われていましたが、今はコンピュータで色を修正するので3ヶ月で一人前になる時代です。同じ様に当社の社員にも将来無くなる経験を積ませても可哀想と考えています。そのために常に新しい仕事に挑戦させています。材質も純ニッケルなどの新しい材料、また形状も複雑なものを選んで受注しています。これらの加工を可能にするためにも5軸加工機が必要なのです。5軸加工が全てではありませんが、5軸がスタンダードになってくると感じています。だからMX-520は若手社員を担当にして、モチベーションを上げています」と滝澤社長。

 「社員が職人気質に拘ると、お客様を忘れてしまいます。常にお客様を意識させる為に不良が出た時に、私ではなく担当者を直に謝りに行かせることもあります。また仕事が評価され、喜ばれているところへも積極的に行かせています。世の中は安直に儲けようとしますが、人材育成には経験を積ませるためにお金がかかります。期待している社員が突然退社したいと申し出る時もあり、このことの繰り返しです。そして残った社員が本当の人材となっています」と人材について語る滝澤社長です。

 滝澤社長は、非常に行動的な人です。同社の生産管理システムは滝澤社長自ら作成し、また自宅のパソコンをサーバ化して出張先で必要に応じてデータを取り出す仕組みを作られています。さらにベトナムから遠隔操作でGibbsCAMを操作してNCプログラム作成を検討するなどアイディアが豊富です。滝澤社長のこの積極性が、そのまま同社の企業文化になっていると感じた取材でした。

会社情報

会社名
アポロプレシジョン株式会社 様
本社工場
〒239-0836 神奈川県横須賀市内川1-2-19
TEL
046-835-1333
FAX
046-835-8895
代表者
代表取締役社長 滝澤 淳一
設立
昭和45 年6 月1 日
従業員
30 名(平成19 年4 月)
事業内容
観察・測定用XYZステージの製造、販売、及び機械部品加工製造
URL
http://www.apco-eng.com/

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