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ユーザーを訪ねて

2017年10月号号のユーザーを訪ねて

No.171

製品カテゴリ:MX-520CUBLEX-63

精密加工技術を通じて高度情報化社会に貢献する

株式会社飯室機械 様

 今回のユーザーを訪ねては、JR八王子駅から東に約 500mの距離にある株式会社飯室機械を取材いたしまし た。取材には飯室喜正会長と飯室和昭社長にご対応頂きま した。JR八王子駅に乗り入れるJR中央線とJR横浜線が交 わる三角地に工場があります。飯室会長と飯室社長はご兄 弟で、飯室会長が長兄です。

 「昭和50年に大学の工学部を卒業し直ぐに入社しまし た。学生時代にはアルバイトで加工プログラムを作ってい ましたが、自動プロもない時代でしたから全てマニュアル で作っていました。入社後加工から営業まで全ての業務を 経験し平成13年に社長に就任しました」と飯室会長。

 「私は、飯室機械に就職する気は全くありませんでし た。大学で機械工学を学んでいたので、卒業後に機械設計 が出来る会社に就職しました。その後結婚を契機に当社に 入社しました。今まで経験してきた機械設計を活かしたい と懇願し、機械加工の仕事先である大手電気メーカーに機 械設計者として出向しました。その後半導体製造装置メー カーにも出向して最先端の機械設計を経験しました。この 経験と人脈が、飯室機械が機械加工だけでなく、電子機器 組立・調整試験を行える基礎となりました」と飯室社長。

開発設計部門の設立

 「平成6年に出向から戻って、直ぐ設計室を作り本格的 に機械設計を始めました。出向していた企業の人脈のおか げで次々と仕事が入りました。しかし、試作なので“こう いうものを作って欲しい”との構想だけで仕様が不明瞭な ものもありましたが断らずに取り組んできました。社内で 機械設計、部品加工、組立は出来ますが、電気関係の人材 がいません。八王子近隣には、電気関連を委託できる会社 があるのでお願いしています」と飯室社長。

 現在同社では、各種機器の開発設計から資材調達、製 作、調整、製品完成までの一貫生産を行っています。半導 体業界、パネルディスプレイ業界、バイオ業界など幅広い 業界からのニーズに対応しています。例えば、輝度分布測 定機、点灯検査機、バックライト検査ステージ、LED点灯 検査装置などがあります。

高い信頼により大手企業と直接取引

 同社の取引先は、半導体製造装置メーカー、計測機器 メーカー、エレクトロニクス、医療・環境機械メーカーな ど大手企業で直接取引があります。

 当社は設計すれば工場で直ぐ部品が作れるので短納期を 実現しています。試作で1個、2個製作しますが、その後 量産対応も出来るので、取引先から喜ばれています。また 図面に多少不備があっても柔軟に対応するので“飯室さん に依頼すれば大丈夫”との信頼関係を構築しています。例 えば、某大手電気メーカーから月産10台の製品が、今月 から月産60~70台に増えています」と飯室社長。

現役で稼動する汎用機部門

 通常加工工場での汎用フライスは、マシニングセンタで 加工する前工程で素材製作を行っています。しかし同社で は、汎用フライス3台と汎用旋盤3台が現役で部品製作に 使われています。

 「試作加工で1個や2個作るのであればマシニングセン タでプログラムを作り段取りするよりも汎用機で加工する 方が早く出来ます。汎用機は一人1台担当するので、機械 と同じ人数が従事しています。またマシニングセンタで1 枚のプレートから板チョコの様に多数個取りで加工し、最 終工程で汎用フライスで裏面を加工して仕上げることも増 えています。この様に汎用機は当社にとって重要な加工機 です」と飯室社長。

立形マシニングセンタRA-1を設備

 「平成元年に2面パレット標準装備で自動化対応の RA-1を2台設備しました。試作が多いのでバイスなど汎 用治具が使える立形マシニングセンタで多面パレット装備 の機械を検討していました。初めてRA-1を見た時にバラ ンスの取れた機械との印象でした。機械担当者も機械のバ ランスが良くないと精度が出ないと主張するのでRA-1に 決めました。また自動化機なので一人で複数台担当するた めに2台同時に設備しました」

 「その後、加工部品に複雑な形状が多くなり、3軸立形 マシニングセンタでは加工出来ないことも増えてきまし た。その対応のために平成23年に5軸制御立形マシニン グセンタMX-520を設備しました。しかし、設備当時はプ ログラムが作れず、思うように稼動しない時期がありまし たが、マツウラが扱うGibbsCAMの5軸仕様システムを 設備しプログラムの問題を解決してからは順調に稼動して います」と飯室社長。

5軸複合マシニングセンタCUBLEX-63を設備

 平成28年に5軸マシニング加工と旋盤加工が行える CUBLEX-63が設備されました。設備投資にあたり東京都 の成長産業設備投資特別支援助成事業にテーマ“複合加工 機で取り組む機構部品の設計開発”で申請し採択されまし た。

 「助成事業には最先端加工機で申請したいと考えていま した。CUBLEX-63の様々な加工が1台で可能なことは申 請に価するものでした。またφ630mmまでの大型部品が 加工出来ることは、半導体ウェハーが大型化する中で必要 不可欠な仕様です」と飯室社長。

将来構想について

 「今後の展開として本社を今の倍ぐらいの工場に拡張 し、第二工場の設備を移設する計画を持っています。更に NC機を10台ぐらい増設し24時間フル稼動可能にしな いと今後の発展はないと思っています。三多摩地区に図面 を持って行けば完成品が出来ると言われるほど技術力のあ る会社が多数あります。その一社とし今後も当社は八王子 で事業を継続していくつもりです」と飯室社長。


 三多摩地区とは、東京都の西部一帯を占める西多摩、南 多摩、北多摩の旧3郡に属していた地域の総称です。また 横浜線沿線には多数の大手企業があります。三多摩地区の 八王子にある同社は、それら大企業のモノづくりを支えて いると感じた取材でした。

会社情報

会社名
株式会社飯室機械 様
本社
〒192-0904  東京都八王子市子安町1-48-4
TEL
0426-46-2151
FAX
0426-46-2108
第2工場
〒192-0906 東京都八王子市北野町503-4
役 員
代表取締役会長 飯室 喜正
代表取締役社長 飯室 和昭
創 業
昭和21年4月
設 立
昭和29年1月
従業員
45名
事業内容
精密加工に関わる新たな開発設計から 生産・納入までの一貫生産。 機構組立・電子機器組立と調整試験。
URL
http://www.iimuro.co.jp/

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