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ユーザーを訪ねて
号のユーザーを訪ねて
No.150
製品カテゴリ:MX-520
工業用樹脂・ゴム・アルミの加工で最先端産業に貢献する
株式会社ユー・エム・アイ 様
今回のユーザーを訪ねては、京都駅から車で南に30分ほどにある株式会社ユー・エム・アイを取材しました。取材には、植村敏彦会長、植村浩典社長、植村豪彦常務にご対応頂きました。昭和46年に植村会長が植村商会として設立。その後規模拡大に伴い本社・工場を数度移転し、平成18年に現在の地に新築移転しています。新工場は、大変モダンな設計でセキュリティー管理また温度・湿度管理が施されている最先端工場です。設立当時の会社名は、植村工業株式会社でしたが、平成8年に株式会社ユー・エム・アイに変更しました。社名のユー・エム・アイ(UMI)は、Ultimate(究極)、Method(方法)、Individuality(個性)の略で、「究極の方法を絶えず追求し、より豊かな個性を表現しよう」という意味を込めています。
高機能材の認定工場
同社はゴムの加工業で創業しましたが、事業展開する中で工業用樹脂に転換していきました。現在、米国大手化学メーカーと直接取引があり、高機能材料(スーパーエンジニアリングプラスチック/高機能エラストマー)の認定工場となっています。この化学メーカーで開発された新素材の委託加工及び加工部品の販売代理店を行なっています。
「材料の供給だけでなく、加工技術も付加することで、この高機能材料の利用分野が広がります。樹脂には切削理論も殆ど無いので試行錯誤で条件を見つけ出しています。またゴムの加工にも特化しています。お客様より高精度のゴム部品を要求され、成形では精度が安定しないので切削で加工します。ゴムの性質上接触式では計測が難しいので画像測定器を使っています」と工場担当の植村常務。
同社では、半導体、電気電子、FA、食品、医療など分野を問わず幅広く事業展開しています。「昨年は、LED(照明)関係が25%、半導体が14%、実装関係10%、電子部品が7%と時流に応じた分野に展開しています。5年前はPDP(プラズマディスプレイ)、液晶TVが主流でした。
毎年種まきをしながら新分野を開拓しています」とマーケティングを担当する植村社長。
精密部品加工の他に、自社製品の「フレックスキャリア」を製作しています。この製品は、フレキシブルプリント基板(携帯電話などに組み込まれる複雑形状の基板)への表面実装を行なう際に使用する搬送ボードです。フレックスキャリアを製造するための金型や成形技術など特許8件を有しており、同社を支える柱となっています。
品質は会社の命
同社は、ISO9001(品質)とISO14001(環境)をまとめたIMS(総合マネジメントシステム)を全国で23番目に取得しています。その中で品質方針を「品質は会社の命」とし、出荷される製品の全数検査を行なっています。
超精密加工分野も同社の大きな特徴です。超精密加工機を設置している床は、機械ごとに分離された深さ7mの基礎工事が施されています。これにより他の生産機械の震動に影響されない環境を作りだし超精密加工の条件をワンランク上げています。
超精密加工室と測定室の温度管理はJISのⅠ級22度±0.5度、湿度管理は50%±2%に制御しています。樹脂とゴムは生き物と言われ、環境の影響を受けやすく寸法が安定しません。これらの材料の特性として吸湿性が高いために湿度管理も重要とのことです。計測機器も多数設備され、超精密三次元座標測定器、非接触三次元CNC画像測定器、表面粗さ形状測定器などがあります。樹脂とゴムは、加工も難しいですが計測も更に難しいとのことです。
人材の育成・多能工化へ
同社の生産は、1個から数10個、加工条件が不明な新素材、また複雑形状の部品と様々です。更に短納期を要求されるので、社員個々の能力向上が不可欠です。「毎期ごとに自身の技能習得目標を定めています。もし達成できない場合には、その理由を調べて是正するようにしています。
当社では計測がモノづくり以上に重要です。難易度の高いモノは専門の検査員が計測しますが、加工した部品を自身が計測できることは加工技術を上げる為にも重要です。多能工化の中で計測技術も含め自身の技能が把握できる仕組みを作っています」と植村常務。
マツウラとの出会いは汎用フライスから
「最初の工場で樹脂の加工を開始した時に、旋盤とフライス盤を設備しました。その時のフライス盤がマツウラ製でしたので30年以上のお付き合いです。次の工場で加工が複雑になり、マシニングセンタが必要となり、取引先の大手電気メーカーの担当者に相談したところ数社紹介されました。その中にマツウラの名前もあり昭和59年に立形マシニングセンタMC-500V2を設備しました。この機械は今でも現役で稼動しています」と植村会長。その後MC-510VF、MC-1000VF、MC-1000VGと設備され、平成23年7月に5軸制御立形マシニングセンタMX-520が導入されました。「マツウラのGibbsCAMもマック版の初期のころから導入しています。現在GibbsCAMのライセンスは2.5次元が5セット、5軸が1セットの合計6セット稼動しています。MX-520導入前にGibbsCAMの5軸でプログラム準備も進めていたので、納入後直ぐにフル稼働できました。3 軸の加工機に比べ、5 軸の特徴であるワンチャックで多面加工出来るので工程設計が格段に容易になりました」と植村常務。
鹿児島県日置市に新工場建設予定
同社は山梨県に東日本支社、鹿児島県に西日本支社を設置し営業活動を行なっています。「事業拡大、またリスク分散などの観点から新規工場建設を海外にするか、国内にするかを検討していました。海外移転は、立ち上げで苦労し、コストによる消耗戦を強いられ、また技術流出も心配でした。国内にするか悩んでいた矢先の3月11日の東日本大震災をきっかけに西日本支社のある鹿児島に設置を決断しました。ある調査機関の報告で九州は今後30年間震度6強の地震が起こらない。また被災から早期に復帰した会社はサーバーの分散などの準備が充分行なわれていたので、これに順ずればリスクは低減できると考えました。本社工場は【絶対品質の確立・維持】、九州工場は【持続的供給責任】を全うし、高機能製品の提案とスピード対応で、お客様に責任を果たしていきたい。来年4月に新工場をスタートする予定です」と植村社長。
取材をした会議室の奥にあるセキュリティー管理されたドアから工場に入りました。会議室は2階なので工場全体を俯瞰する形です。この位置からは、機械の状況は見えますが実加工の形状までは確認できません。このことにより同社のセキュリティー対応にお客様も満足されると実感しました。工場では、昭和59年に納入されたMC-500V2が現役で稼動しておりメーカーとして嬉しく思った取材でした。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ユー・エム・アイ 様
- 本社工場
- 〒613-0033 京都府久世郡久御山町林高黒1-6
- TEL
- 0774-44-5151
- FAX
- 0774-44-5172
- sales@umi-inc.co.jp
- 東日本支社
- 〒400-0053 山梨県甲府市大里町53-1
- TEL
- 055-241-6087
- FAX
- 055-243-3832
- 西日本支社
- 〒899-2504 鹿児島県日置市伊集院郡971-1
- TEL
- 099-246-5066
- FAX
- 099-246-5061
- 松山営業所
- 〒791-0245 愛媛県松山市南梅本町30-6
- TEL
- 089-990-8233
- FAX
- 089-970-6438
- 代表者
- 代表取締役社長 植村 浩典
- 設立
- 昭和55年10月1日
- 従業員
- 104名
- 事業内容
- 樹脂・非鉄金属精密部品加工
- URL
- http://www.umi-inc.co.jp/