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ユーザーを訪ねて

2024年夏号のユーザーを訪ねて

No.198

製品カテゴリ:MAM72 SeriesMAM72-35V

多面パレットを用いた無人運転を駆使して効率的な生産を実現

有限会社 中村精機 様

 

今回のユーザーを訪ねては、北陸自動車道の福井インターチェンジから車で15分の距離にある有限会社中村精機です。取材には、中村明広氏にご対応いただきました。同社は明広氏の父である代表取締役の中村弘典氏が1974年に創業。創業以来、機械部品等の金属部品加工業を続けています。

同社の創業者である弘典氏は中学校を卒業後、鉄工所の職に就き、その後、27歳で独立することとなりました。自宅近くのガレージに汎用旋盤1台を設備し、事業を開始しました。当時は、現在のようにFAXや電子メールが普及している時代ではなかったため、電話を受けては顧客のもとに出向き、図面を貰うという、現在と比較して非常に時間と労力がかかっていたことを振り返っていました。

細かな設備を整えながら、少しずつ業績を積み上げていく中で、1984年に大きな転機を迎えます。それは、大手メーカーのNC旋盤の導入でした。福井県内でも同機種は1台しか設備されておらず、業界でも珍しいものでした。 当時を振り返り、弘典氏は「清水の舞台から飛び降りる気持ちで設備した。」とのことでした。

その後、バブル景気に入ったこともあり、従来では対応できないような仕事量をこなすことが可能となりました。このNC機の導入が、現在の当社の礎となりました。

父のモノづくりを受け継ぐ

二代目となる明広氏は大学を卒業後、銀行へ就職。銀行員としてセールスにも自信をつけていく一方で、父の創業した中村精機を継ぐことも将来の選択肢として考えるようになりました。継ぐことを決意した経緯について明広氏は次のように話します。

「父親が大きな病を患ったことや年齢的なこともあるせいか、数年おきに更新していた設備が止まっていました。このまま行けば、いずれ廃業するのだろうと思い、それなら自分がやってみるのも一つの道だなと思うようになりました。会社経営に興味を持っていたことと、自分の可能性を試してみたいという考えもあり、父親の会社を継ぐ意思を伝えました。当初、父親は私が継ぐことに驚き、反対もありましたが、熱意を伝え納得を得ることができ、36歳で当社に入りました。」と明広氏。

MAM72-35V PC40 の選定理由

当社は旋盤設備が多い一方で、マシニングセンタはマツウラの立形MC( 800VF )1台であったため、繁忙期にるとマシニングセンタの前にワークが渋滞することがネック事項でした。

また、老朽化する設備をカバーすることと、上記の問題を少しでも解消する目的で2017年に他社製のターニングセンタを導入したことを契機に、多軸機を使うことの自信と期待が大きくなりました。

それ以降、段取工程の削減や自動化できる機械に興味を持ち、様々な工作機械をメーカーや中古機屋を含め、色々と見て回りました。

MAM72-35V PC40 の導入を決める際に重視した点は、段取時間の削減と自動運転の実現でした。多面パレットと5軸機であるMAM72-35V PC40 で、その目的を達成できそうだと思いました。

「少量多品種生産の当社でも、多面パレットであれば、複数のワークを搭載できることから、ワーク変更による段取り時間を削減できるだろうと想定しました。MAM72 シリーズは他社製のパレットチェンジャー搭載機よりも圧倒的にパレット数が多いことからもコストパフォーマンスに優れていると思いましたし、このパレット数においてMAM72 シリーズは唯一無二の機種だと感じました。」

また、「従来3軸機で加工していたときは、加工面が複数あるワークであれば、ワークの脱着や座標系の再設定、更に工具の付け替えなどの段取が発生しますが、削減できるものでもなくネックに感じていました。これを解消する為には、やはり5軸加工による工程集約が良いだろうと考えました。

更に、GibbsCAM を使っていたこともあり新規設備導入後もCAD/CAMベースで運用できる機種であれば、導入してもスムーズに移行できるだろうと考えました。」と明広氏。

MAM72-35V PC40 の使用感

MAM72-35V PC40 の設備で効果の大きかったことは、PC40、5軸加工、マトリクスマガジン、タッチプローブによる段取削減と自動化・無人運転でした。

「 PC40のうち、汎用的なパレットと専用ワーク治具のパレットを分けて使用しています。多品種小ロット生産の当社でも、複数の治具を載せられることは、非常に便利です。5軸加工は選定時期に想定していた通りに工程集約を実施することができました。

マトリクスマガジンは、既存の加工ワークで使用した工具を全て設置することができ、ワークの違いによる工具交換が無くなりました。

タッチプローブにより、ワークの芯出しの手間が無くなりました。更に、無人運転をしていても都度ワーク座標を更新できるため精度の正確性や安心感も増しました。

MAM72-35V によって、段取り時間が削減でき、十分な加工時間が得られました。また、GibbsCAM のマシンシミュレーション機能は5軸加工の複雑なプログラム運転における安全性を確保できています。」と明広氏。

今後の展望

「今後この事業を続けていくことを考えると、やはり一緒に働いてくれる方が必要だと思っています。かなりニッチな業界ですが、機械操作に抵抗がない方、細部まで注意を払える方などはこの仕事に向いていると思います。経験者はもちろん、機械加工に興味がある方に来ていただけると嬉しいです。今後もお客様の多様なニーズにお応えできるように精進したいと考えています。」と明広氏。


明広氏は「MAM72-35V のマムという呼び名は、マザーマシンを連想するネーミングで認知し易く、マツウラさんの5軸機のハイエンドモデルとしての機能面も含めて気に入っている。」と話していました。

また、同社は工作機械の部品も供給しており、マツウラの部品も同社にて製造されています。同社から部品を仕入れるマツウラの購買担当によると「中村精機さんは、加工難易度の高い新しい加工品を依頼した際も前向きに取り組んで頂いています。高い技術力で加工品の対応をしてもらっています。」と信頼を置いていました。

ガレージから創業し、規模を追わず工夫を重ねながら顧客の期待に応えてきた同社。また、最新かつハイエンドな機種を積極的に設備していく姿勢は、弘典氏から明広氏にしっかりと受け継がれており、純粋にモノづくりが好きな親子2人の姿に感銘を受けました。

会社情報

会社名
有限会社 中村精機 様
本社
〒910-2357 福井県福井市朝谷町26-35
代表者
代表取締役 中村 弘典
創業
1974年
従業員数
3名
事業内容
機械部品の加工

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