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ユーザーを訪ねて
2019年1月号号のユーザーを訪ねて
No.176
製品カテゴリ:MX-520
合金鋳造で創業し鋳造技術を活かして産業機械の部品加工を行い更に自社製品を製造販売する
株式会社宝角合金製作所 様
今回のユーザーを訪ねては、JR姫路駅から車で南に 10分の距離にある株式会社宝角合金製作所を取材いたし ました。同社の位置する播磨臨海地区は、瀬戸内海に面 した大手企業の工場が多数操業するエリアで、製品出荷 額では東京23区や大阪市などをも上回るモノづくり拠点 です。取材には宝角勝利社長にご対応頂きました。昭和4 年に祖父宝角勝次郎氏が非鉄金属工場として創業し、2代 目は父親の宝角勝会長が、そして宝角社長が3代目となり ます。
「昔は住まいと工場が一所にあり、祖父や父の仕事をし ている姿を見ていたので自ずとこの仕事を継ぐと思って いました。大学では機械工学を学びました。卒業時はオ イルショックで就職が大変な時期であり、卒業して直ぐ 当社に入社しました。入社当時は20名弱の会社でした」 と宝角社長。
鋳造から農業ポンプメーカーへ、更に部品加工へ
「昭和30年代ごろに非鉄金属の鋳造関連の仕事を行って いましたが、鋳造だけでは仕事がないので自社製品を作 りました。当時の田んぼでは潅漑が整っていないので、 水の供給にポンプが必要でした。その農業用ポンプを製 造しました。また、この辺は塩田が広がっており、海水 をくみ上げる為のポンプも製造しました。当社の銅合金 鋳造技術を使い、海水でも錆びないポンプを製造してい ました。しかし、ポンプの需要は季節要因が大きく、6月 には工場内にポンプが溢れていますが、それを過ぎると 工場が暇になります。鋳造をしながら、ポンプメーカー として経営を行っていましたが、高度経済成長期に入り ポンプの受注が減少しました。播磨臨海地区は大手企業 の工場が多いので、部品加工の仕事はありました。そこ で、他社から依頼のある部品加工業へと経営方針を転換 し、経営を安定化させました」と宝角社長。
経営理念「私たちは創造業」
「当社には設備機械が約50台あります。旋盤加工を中心 に部品加工を始めたので、6割の機械が旋盤です。現在も 汎用旋盤からNC旋盤、また複合旋盤と様々な機械を設備 しています。近辺の工場から、大型の部品加工が求めら れ、鋳造で異形物の旋盤加工は当社の強みです。平成20 年には当社ホームページ上に“ 大型旋盤.COM ”大型シャ フト、大物フランジなどの大物旋盤加工に小ロットに対 応しますとバナー掲示しています。様々な業界の産業機 械部品加工を行っていますが、射出成形機の部品が主力 です」
「鋳造を行っていたので、仕事先の開発担当者から素材 について相談を受けることがあります。試作を当社で行 い、量産に移行する際の鋳物形状をどうするかなど、鋳 造の経験が活かされています。現在鋳造は行っていませ んが会社名の“ 合金 ”は外せません。また、企業理念に “ 創造業 ”との言葉があります。これは加工だけでなく 鋳造など素材を手がけていた経験を活かし、一連のモノ づくりでお客様にお応えできる会社でありたいとの思い を込めています」と宝角社長。
「精機事業部の社員は70名程度で、加工機は65台設備し ています。エネルギー関係、産業機械、光学分野など幅広い 分野から受注しています。地域的に愛知県と静岡県が中心で す。以前は社長が担当していましたが、光学機器メーカーさ んは矢澤部長、そして産業機械メーカーさんは唐沢部長が責 任者になるように体制変更しました」と沢社長。
5軸制御立形マシニングセンタMX-520 PC4を設備
「マツウラのMX-520aPC4を平成30年6月に設備しま した。当時老朽設備の入れ替えを検討していました。5軸 加工の部品は殆どありませんが、部品を傾けることが出来 れば短い工具を使って加工の生産性がより上がると考え5 軸加工機を、また以前の機械もPCが付加されていたの で、PC付きを調査しました。展示会やマツウラユーザー を訪問して実機を見学し、フロアースペースが小さく、ま た操作性も良かったので、総合判断でMX-520 PC4に決 めました」
「現在、従来部品の加工をMX-520へ順次移行をしてい ます。鋳造部品は季節によって硬度が変化するなど加工に は経験が必要ですが、オペレータは『従来機に比べて機械 剛性が高いので切削条件が20~25%上げられるので生 産性が向上します』。また『加工途中に精度確認をする 際には接近性が良いので使い易い』との声があります。 そのお陰で、様々な部品をMX-520で加工集中するため他 の機械とのバランスに苦慮しています」と宝角社長。
竹粉砕機「Bamboo Mill」
「以前に農業用ポンプを生産していたので、自社製品が あったらいいなと思っていました。そんな時にある方 が、竹粉砕機の製作が出来ないかとの依頼がありまし た。リーマンショックの時で仕事が半分になり時間は山 ほどあったので依頼に応じ製作しました。折角作ったの で、自社製品の竹粉砕機“ Bamboo Mill ”として平成 21年に販売を開始しました。構造は、切り出した竹を機 械にそのままセットすると粉砕されて粉状になります。 今までに30台納品しました。今月も鹿児島に出荷しま す。競合はありますが、当社の強みは機械を自社で作っ ているので対応が速やかに行えることです」と宝角社 長。
機械を製作販売するだけでなく、同社ではこの機械を 使って実際に竹の粉を作っています。同社ホームページ 上に“ 土づくり研究所 ”天然の竹100%を原料とした土 壌改良材で安心・安全な土づくり研究をしていますとの バナー掲示をしています。そして、ガーデニングをされ ている個人の方に通信販売をしています。取材した時に も、“ 土づくり研究所 ”のダンボール箱が出荷を待って いました。
ココピート粉砕機「いきなりココピート」
「土壌改良剤としてココピートが注目されています。コ コピートは、ココナッツ果実の堅い殻を作るファイバー 状の層で、マットやロープを作る為に取られた繊維の残 りを、3年から5年ほど堆積、醗酵させたエコロジーな天 然資源です。しかし、ココピートはブロックで出荷され るので、使用するときに粉砕する必要があります。プー ルの水に入れて戻したり、フォークリフトを使って粉砕 するなど、大変な手間がかかっています。そこで、当社 は竹粉砕機の技術を応用して日本で唯一のココピート粉 砕機を平成26年に開発しました」
「土づくり研究所があるので、粉砕した粉を販売し、良 さを知ってもらって機械を購入して頂いています。自社 製品開発当時の社員は遠巻きで見ていましたが、新聞や テレビで取り上げられるので好意的な意識に変わってき ています。ハイテクでは大手企業に勝てません。しか し、ローテクを使った隙間産業を狙った製品を今後も 作っていきたいです。海外からも注目され、今月もミャ ンマーから3人見学に来られました。部品加工、また自社 製品製作で工場が手狭になっているので、次のステップ として工場拡張と、更に大型の5軸加工機設備を考えてい ます」と宝角社長。
2棟の工場があり、旋盤加工工場とマシニング加工工 場と分けて運用していました。工場内には様々な形状の 鋳造部品があり、正に鋳造部品加工に特化していること が分かりました。量産になれば鋳造部品になるとの宝角 社長の言葉に同社の強みを改めて実感しました。
会社情報
- 会社名
- 株式会社宝角合金製作所 様
- 本 社
- 〒672-8035 兵庫県姫路市飾磨区中島1345-2
- TEL
- 079-234-4116
- FAX
- 079-234-5116
- 役 員
- 代表取締役 宝角 勝利
- 創 業
- 昭和4年
- 設 立
- 昭和34年
- 従業員
- 4年 5
- 事業内容
- 産業機械部品加工、 竹粉砕機「Bamboo Mill」製造
- URL
- http://www.houz.co.jp/