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ユーザーを訪ねて
号のユーザーを訪ねて
No.140
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創業昭和2年「今日の夢を、明日は現実に」との理想を求め続ける
株式会社髙林製作所 様
今回のユーザーを訪ねては、長野自動車道路お方にインターチェンジの直ぐ近くにある株式会社髙林製作所を取材しました。
この工場は、平成21年1月に完成したばかりの最新工場で、小高い丘の上にあり、高速道路からよく見えます。
取材には社長の髙林和引氏に対応頂きました。
「新工場を建設後、ホームページにアクセスが”髙林製作所”で検索されています。 今まで小さい会社ですから名前で検索されることはありませんでした。 高速道路から見えるために、何の会社かなと思って検索されるのでしょう。 また求人ですが、今まで高校へお願いに行っても良い返事は頂けませんでした。 しかし今年は一次志望で4 人、2 次志望で10 人が就職を希望しているとのことです。 リクルートや会社PR では、効果が出ています」と髙林社長。
創業昭和2年より80年、最先端を追い続ける
創業は昭和2 年、髙林社長の祖父髙林孫三郎氏によって、蚕から糸を巻き取る製糸機械の製造で歴史は始まりました。
当時この機械は、髙林方式と呼ばれ特許も取得していました。
製糸の斜陽化により昭和36 年には自社ブランド小型フライス盤の製造販売を開始。
昭和52 年に二代目髙林録朗氏が社長に就任、そして平成13 年に三代目髙林和引氏が社長に就任。
その時代に合わせて時計のケース加工、各種カム製造などモノづくりを継続し82 年の歴史を持つ会社です。
髙林社長は、当初会社を継ぐ意志はなく、歯医者を目指し大学の歯学部に入学していました。
しかし2 年間学んだ時に、自分の性格に合わないと思い、昭和53 年に同社に入社。
「図面は読めませんでしたが、小さい時から工場で遊んでいましたので、加工に関しては体感していました。 入社したら、いきなりマツウラの立形マシニングセンタ MC-710V を導入し担当しました。 会社でマシニングセンタ初号機なので誰も分かりません。 しかし、理工系なので素直に取り組め、手でプログラムを入力しながら汎用機で加工できない複雑な形状部品の加工を行っていました。当時諏訪の地を活かして時計のケース加工機を作っており、そのケースゲージも多数作っていました」と髙林社長。
自社ブランドからOEM生産へ転換
昭和57 年には自社ブランドの小型NC フライス盤(ミニマスターシリーズ)の製造・販売を開始しています。
「当時光学関連企業に売り込みに行った時に、工場にマツウラの古い二頭のフライス盤がありました。 担当者からこれと同じ二頭の小型NC フライスなら設備しても良いと言われ、開発に着手しました。 しかし2,3人での開発であり、電気の技術屋がいた訳でもないので、何度も失敗し、また何夜徹夜したか分かりません。 ようやく完成したときの嬉しさは格別で、親子ともども機械作りが好きだと実感した思い出があります」と。
しかし、景気の良いときは機械が売れましたが、不景気になると直ぐ値引きを要求され、終わりには全く売れなくなり自社ブランドでの経営の限界を実感。
経営方針を自社ブランドからOEM 生産への転換を決断され、平成4年に大手工作機械メーカー向けOEM 生産を開始しました。
「今大変な不景気です。しかし、自動車部品メーカーからの既存設備の改造依頼を受注しています。短期間での立ち上げなので納期が短く大変な状況ですが、OEM 生産なので生き残れたと言えます」と髙林社長。
5軸マシニングセンタの導入
「立形、横形マシニングセンタは、多数設備してきました。既存の設備を工夫して加工を行っていましたが、どうしても複数工程でないと加工できない部品が増え、またお客様の要求精度も上がっていました。そこでワンチャックであらゆる方向から加工できる5軸加工機を検討しました。マツウラの5軸制御立形マシニングセンタ MAM72-3VS は40パレット標準なので、様々な形状のロボット部品を加工するのに最適と考え、工場新設に合わせて平成21年1月に導入しました。様々な形状部品を要求されているので、 MAM72-3VS はフルに稼働しています」と髙林社長。
もちろん男性従業員も多数技能国家資格を持っており、高井社長自ら切削工具研削1級の資格者です。
臨床検査機の開発にも挑戦
髙林社長のモノづくり(ハード、ソフト)への挑戦は止まることを知りません。
例えば各種カム(板カム、溝カム、円筒カム)の製作を同社は行っていますが、そのカムの形状を計算するソフトは自社で開発をしています。
今省エネとしてカム機構が見直されていますが、カムの設計ができる人が少なくなっています。
このシステムでは他社で販売されているカム専用ソフトより格段に使い易く精度も高いのですが、開発時はMS-DOS の環境でしたので早急にWindows への変換が必要とのことです。
また髙林社長は次の市場として医療分野にも注目され開発を続けてきました。
そして市場規模が小さくて、大手企業が参入してこない分注装置の分野への参入を果たしました。
分注装置とは、試料・試薬を高速に高精度で一定量各テストピースに注ぐ機器です。
同社の開発した分注機は血液及び尿向けで「LAD-10CH」との名称で業界初10チャンネル独立ヘッドを有しています。
その装置には小型ポンプ、独立ヘッド、液面検知など特許出願中の最新技術が盛り込まれています。
「分注機は遠心分離機で試験をする前にサンプルに試薬を入れる機器です。遠心分離機とセットになった機器の製作との話もあったが、高速で回転する遠心分離機はリスクを伴うので分注機に特化しました」と髙林社長。
更に、自動切粉搬送装置の開発にも取り組んでいます。
各機械で発生する切粉を自動で搬送し常に工場を清潔に保つ為のシステムを開発中で、実際に同社の新工場に設置してテスト運用を行っています。
ランニングコストである工具費に関しては、余り注目されません。
新工場は恒温に保たれた環境に最新のマシンが稼働していました。
その中でマツウラの汎用フライス「VC-1800」があり、一品作りでは汎用フライスが便利なので、今でも必要な設備とのことです。
最新のMAM72-3VS と古いVC-1800 が共に稼働しており同社の歴史を支えていると実感した取材でした。
会社情報
- 会社名
- 株式会社髙林製作所 様
- 本社
- 〒394-0001 長野県岡谷市今井1603-1
- TEL
- 0266-23-1991
- FAX
- 0266-23-1953
- takabayashi255@takabayashi-ss.co.jp
- 代表者
- 代表取締役社長 髙林 和弘 氏
- 創業
- 昭和2年
- 設立
- 昭和51年
- 従業員
- 23名
- 事業内容
- 工作機械ロボット、機械部品、各種カムの製作、臨床検査機の製作
- URL
- http://www.takabayashi-ss.co.jp/