トピックス
ユーザーを訪ねて
2019年7月号のユーザーを訪ねて
No.178
製品カテゴリ:MAM72-63VH.Plus-630
切削加工技術と溶接技術を駆使した独自の複合加工技術により大型特殊部品を製造
中星工業株式会社 様
今回のユーザーを訪ねては、JR中央本線の韮崎駅から 車で東に5分の距離にある中星工業株式会社を取材いたし ました。取材には、製造部の桜井正男部長、営業部の五味 一広部長、管理部の細川伸一部長代理にご対応頂きまし た。周辺にはぶどう畑が広がり、西に南アルプスまた北に は有名な八ヶ岳が見える景勝地に工場があります。
同社は、昭和42年愛知県名古屋市に設立され、仕事先 である大手半導製造装置メーカーの山梨県への工場建設に 伴い昭和59年山梨県に工場を建設されました。そして平 成13年に山梨工場に本社を移転し拠点の一本化を図って います。
現場作業者は30代が多く、また所属長(課長、係長) も40代前半までと若く、職場には活気が溢れています。
大型部品製造に注力
同社には、5軸マシニングセンタ、門形、横形、立形マ シニングセンタ、更に立形、横形、複合NC旋盤など 47台 の N C マ シ ン が 設 備 さ れ て い ま す 。 最 大 4,000×2,100×715mmワークの加工が可能であり、 大型部品に注力しています。一方、高速主軸を装備したマ シニングセンタも多数設備しているので小径孔加工(アル ミ板1mmにφ0.03mm貫通穴、ステンレス板3mmにφ 0.3mm貫通穴)の加工実績もあります。材質は軽合金か ら難切削材まで幅広く加工出来、生産は試作・単品・量産 と柔軟に対応しています。
切削と溶接を融合させた複合加工
同社は、切削加工機の他に多数の溶接機も設備されて います。Tig溶接(電気を用いたアーク溶接の一種)、 CO2半自動溶接機、更にハイブリッドYAG溶接、電子ビ ーム溶接機を用いて溶接できる技術力を持っています。
「半導体製造装置で使われる大型の真空装置部品は、以 前切削加工で削り出し加工していました。それを当社で は、アルミプレートを圧延機で曲げて接合部をTig溶接し ます。その後切削加工で仕上げています。この加工方法に より短納期でコスト削減を実現しました。他社では出来な い切削と溶接を使った複合加工技術が当社の強みです」と 五味部長。
五味部長。 「半導体製造装置や液晶製造装置に使われる部品で外部 から見ると一枚のプレートに見えますが、その中に様々な 機能を持つプレートが内蔵されている場合があります。当 社では、各プレートを加工した後に溶接、そして仕上げ加 工することが出来ます。溶接構造とは分からない、またど こを溶接したか分からない精密部品を製造出来ます」と細 川部長代理。
更にサブアッセンブリ(部分的組立)と工具研磨
「当初は部品単体を納品していましたが、お客様からそ の部品を使った装置のサブアッセンブリをして欲しいとの 依頼があり対応しています。半導体製造装置や液晶製造装 置のプロセス系や搬送系のサブアッセンブリを行っていま す。お客様は様々な部品の納期管理の必要がなく、1枚の 注文書で装置が納品されるので喜ばれています」と五味部 長。
同社は、高精密CNC工具研磨機も設備しています。これ により特殊工具製作や通常工具の再研磨を行っています。 「これだけのNC工作機械が稼動していると工具費用も多 額となります。磨耗した工具を社内で再研磨して荒加工用 として使用しています。また部品の生産効率を上げるため に特殊工具製作も行っています。外部に製作委託すると納 期が掛かりますが、内製なので必要な時に製作出来るので 部品の納期短縮に貢献しています」と細川部長代理。
同社の生産を支えている生産技術には10名のメンバー が在籍しています。その中には4人の女性も活躍し、 CAD/CAMでのプログラム作成やCADを使ってジグ設計 を行っています。マツウラが扱うGibbsCAMも2台設備 されています。生産効率向上を目指し、日々改善活動で 原価低減を行っています。
高速マシニングセンタを導入
平成13年に主軸回転数27,000回転の高速立形マシニ ングセンタFX-5GAPC2と高速横形マシニングセンタ FXH-90G PC2を導入されました。
「18年前に導入しましたが今でも現役バリバリで、最高 回転数の27,000回転で加工しています。当時アルミ材に 小径エンドミルを使って溝加工やポケット加工が多くあり ましたが、高速加工機がなかったので5,000回転の機械 で加工していました。しかし、マツウラの高速加工機導入 により、φ2mmで深さ40mmの加工などが可能になりま した」と細川部長代理。
更に平成19年に主軸回転数30,000回転の横形マシニ ングセンタH.Plus-630 PC6を導入されました。
「φ1mmで18,000個の穴加工するワークのために専用 機として導入しました。パレット6枚仕様なので土日無人 で加工しています」と細川部長代理。
5軸制御立形マシニングセンタ MAM72-63V PC18を導入
平成27年に主軸回転数20,000回転のMAM72-63V PC18を1台、更に平成29年に2台導入されました。 「半導体ウェーハが200mmから300mmへとシフトす る中で、部品も大型化しました。そのワークを加工するた めにMAM72-63V PC18を導入しました。その後の量産 に対応する為に平成29年に2台を追加導入しました。パ レット18枚をフル稼働させ、650時間~700時間稼動す る月もありました。当社の生産に ”自動化・無人化 ”の MAM72はベストマッチの機械と言えます」と桜井部長。
切削加工で製作するのが当たり前と思っている精密部 品が溶接を使うことで、短納期で更にコスト削減で製作 している現場を見学し、まだまだモノづくりの可能性が あると実感した取材でした。
会社情報
- 会社名
- 中星工業株式会社 様
- 本社
- 〒400-0108 山梨県甲斐市宇津谷3356
- TEL
- 0551-28-4381
- FAX
- 0551-28-4390
- 役員
- 代表取締役社長 近藤 宏和
- 設立
- 昭和42年8月
- 従業員
- 136名
- 事業内容
- 半導体製造装置、液晶製造装置の部品 製造。航空・宇宙、食品加工関連の部 品製造。
- URL
- http://www.nakaboshi.co.jp/