トピックス
シングルorダブル
2007年1月号号のシングルorダブル
No.144SELENDIPITY
「セレンディピティ」とは「幸運なる偶然」と教えて頂いたのは野村證券の岩佐氏でした。
夕食を共にしながら昔話に花が咲き、弊社の71年間の変遷を思いつくままに話していた時でした。
思い返せば、昭和35年電気制御立形自動フライス盤(プロコン)の開発では、全くの素人集団が制御システムを設計・製造したのです。
今から思えば破天荒な夢でしたが、当時はその夢を実現出来ると信じて懸命に造り続けたのです。
しかし、完成したのに動かない。
その原因を誰も分からず途方に暮れていた時、展示会で逢った芝電気の山口様が「困ったことがあったら、いつでもいらっしゃい」との言葉を思い出し、訪ね教えを請いました。
その時紹介された元海軍技術研究所の武先生を強引に福井までお連れし、全てを見て頂き解決した時は涙が出る程うれしく皆で抱き合って喜びました。
原因は部品の選択の誤りと加工方法の不良でした。
設計図は先生から「私が知る限り、最新の制御方法です」と誉められ、開発メンバーは大変喜び自信をつけたのでした。
その時、岩佐氏に「それが”SELENDIPITY”です。 ひたすら人に役立つ”もの作り”を目指して一丸となって困難につまずきながら一つ一つ解決している中で、 もうどうにもならないと立往生し途方に暮れた時、突然神様が現れ解決点を教えてくれるのです。 何も努力もしない人には”幸運なる偶然”はないのです。 松浦さんはそれを実体験したのですよ」と言われて、戸惑いながらも感動した次第です。
昭和10年創業以来ベルト掛けの旋盤から、戦前戦後の一時期を除いて、工作機械メーカーとして生き続け、 知人のアドバイスにより旋盤からフライス盤へと機種を変え、そのことがMCメーカーとしての出発になったのです。
父はいつも「人まねはするな」、「独自性を発揮しろ」、「一味違えた機械を狙え」と言い続けていました。
その教を、いまでも忠実に守ることが、我社の哲学です。
今年72年目、これからも世の中に役立つ”もの作り”のソリューション(解決策)を目指し、 その中核となる工作機械を作り続けて行くことこそ我社の社会的使命と肝に命じ日々精進する覚悟です。
これからも格別のご指導、ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。