トピックス

シングルorダブル

1991年9月号号のシングルorダブル

No.55品質今昔物語

 欧米の市場に向けてマツウラがビジネスを始めたのは、今から約20年ほど前。
当時は自動車にしろ家電にしろ「アメリカで売れれば日本は勿論、世界中で売れる」 といわれていたものでした。
ところで先日、アメリカはナショナル・マシナリー社(NM社)のポール社長から私に 国際電話が入りました。
「アメリカの工作機械などの市場は大変悪いが、松浦さんにうれしいニュースがあるんだ。
NM社の取引銀行のボスがね、君の会社は日本市場で売れる商品づくりが成功したとみえ、 日本への販売が増えていると聞いているが、当行はそんな会社には積極的に融資を すすめるので、これからも大いに頑張ってほしい—と。
また、NMのドイツ会社の取引銀行でも同じようなことをいわれたよ。
日本市場で売れているなら心配ない、応分に融資協力するよとね、松浦さん、これからも私は 日本市場にマトを絞ってやるから、ぜひ応援してくれ—」要旨はこういうものでした。

 マツウラとNM社とのご縁は、武生にあった同社日本法人、日本ナショナル機械株式会社を 1985年春に引き受けた時からです。
それから6年たった今日まで、日本の企業経営や人事、財務の考え方、商品開発や技術の問題、 さらには工場運営に至るまで、トップ同士の真剣な交流が始まったのです。
欧米とは違う、日本のユーザーニーズも正確に知らせました。
そんな中から米国の鍛造機械メーカーの名門、NM社は大きく方向転換をはじめ、従来の習慣 や技術にこだわることなく、経営の合理化と日本市場にマッチした商品開発をはかるように なりました。
マツウラも日本の工作機械メーカーとして、微力ながら合弁の販売会社を設立し、日本市場 の販売促進を手伝っています。

 米や独の銀行が言った言葉「日本で売れれば世界で売れる」は、20年前に私達が常識と 思っていた言葉とは、まるで逆になってしまいました。
だとすれば、日本は世界の潮流のドマん中に立っている、そんな気がします。
今こそ私達は日本のもっている技術や文化、そして市場を世界共通の財産として、 もっと積極的に解放すべき時だと思うのですが—。

BACK NUMBER

Page TOP