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シングルorダブル

2019年7月号号のシングルorダブル

No.192一進一退

 夏もいよいよ本番、長期予報では「比較的過ごしやすい平年並みの夏」のようですが、さてどうなるでしょうか。昨年同様に暑くなるのでしょうかね?

 別に天候と工作機械業界の動向が一致していると感じたことはないですが、工作機械の需要は、前年同期比で明らかにHOTからCOOLになりました。多くのメーカーは、昨年から中国市場の需要が急減したことで直接的な影響を受けています。しかし、先月のG20主要先進参加国の中では「将来的には人手不足は確実なので、省力化設備投資のマインドは落ちることはない」と言い切る国もありました。また、国内では5月の鉱工業生産指数が久々に105を超え設備投 資需要も再度改善の兆しも見えたりしております。一進一退の状況からどう変化していくのか、今後の動向に注目しています。

 さて、この一進一退の根底には、米中対立から発生する様々な余波が、設備投資の意思決定を妨げていると見て良いのではないでしょうか。イデオロギーが相違し、経済、人口、国土など超大国要件を備えた経済規模世界1位と2位の通商摩擦。大国同士の対立というと冷戦初期の米ソ対立を思い出しますが、似て非なのは、米国は構造的に多額の対中貿易赤字を持ち、且つ両国は経済的に密接な関係にあるところです。ご存知のように米ソ対立は、ソ連の退場をもって終えました。米中関係の場合は、その慢性化する対中貿易赤字に歯止めをかけんが為に関税を使って揺さぶりをかけ、両国の緊張感が一気に上がった訳です。加えて対立軸の一つに核心となる通信技術の覇権争いが含まれています。この分野は、工作機械業界にも多大な影響力持っていますので、着地点がどのようにして見出されるのか、サミット前後の動きはさながら政治ショーの様でしたが、両国には是非とも早期に賢明な合意に至って欲しいものです。

 現在の米中対立下では、政治も経済も密接に絡み合った複雑な世界情勢となっていますが、この煽りで円だけが一方的に高騰することが無いようお願い したいものです。令和のスタートは、中々話題が尽きず、本当に目が離せません。 

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