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シングルorダブル
令和4年夏号のシングルorダブル
No.205イノベーション
先日、常々勉強されている経営者の方から大変興味深いお話を聞く機会がありました。米国カリフォルニア州シリコンバレーの中心にある名門スタンフォード大学。その大学内にあるシリコンバレーのスタートアップ企業育成に多大な貢献をしている教育機関「Hasso Plattner Institute of Design」通称「d.school」は、デザイン思考を実践しその具体的手法を体系的に教えてくれる講座を提供しています。同大学のどの学部・大学院に属している学生も受講ができ、また外部にも参加が許されるワークショップ等が開催されています。ここでいうデザインとは、新しいビジネスモデルを生み出すことや多種多様な問題解決をすること、つまりイノベーションを創り出すことを意味しています。その方が実際にワークショップを受講され、企業経営においてこれまでにない新しい製品やサービスを生み出すことの重要性を改めて思い知らされた経験をされたとのことでした。
先ず課題として、「ビジネスでイノベーションを生み出すために思い付くアイデアを全て書き出せ」というもの。現役の経営者として頭を捻り出して色々思い付くものを書き出してみるわけですが、さて皆さん、どのくらいの数のアイデアを書き出せますか?私なんか既存のビジネスとの関わり合いや実現性やリスクを考えながら何とかアイデアを捻り出すのですが、どんなに頑張ってもせいぜい20ぐらいでしょうか。
なんとd.school曰く、経験上シリコンバレーで成功する人は、最低でも500、平均で1,000を切るくらいアイデアを出すそうです。その内の2、3の独創的な尖ったアイデアが実を結び新しいビジネスとして成功しているとのことでした。その後のワークショップは、出されたアイデアを元に実践的なデザイン思考を用いた講義へと進んで行ったわけですが、私は、先ず成功する人が書き出したこの驚異的な数字に驚かされたことと、それにそのようなイノベーションを起こすことを体系的に教えている教育システムが存在する米国の奥深さに唸らされました。成る程シリコンバレーで優秀な人材を輩出する環境が、GAFAのような独創的な企業を生み出して来たわけですね。
経営者として、如何にイノベーションを起こすか、常々考えなければいけないと深く感じた次第です。