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こんなユーザー
2008年4月号のこんなユーザー
No.115
プラスチック加工に特化し大田区の「優工場」に認定された
ケィディケィ株式会社 様
今回のこんなユーザーは、JR大森駅から南へ車で10分ほどにあるケィディケィ株式会社です。
同社は、創業35年の実績と、日々進化する高精度を追及したプラスチックの部品切削加工を行っています。
取材には昨年8月に39歳で2代目社長に就任された佐藤武志氏に対応頂きました。
「小学校5,6年の時に、この工場で働いている自分の姿を絵に描いた記憶があります。 工業高校卒業後、情報系の専門学校、異業種に就職しました。 しかし、多くの高校時代の友人が工場で働いており、モノづくりを熱く語る友人の姿に共感し二十歳で会社に戻りました」と佐藤社長。
高精度部品加工への進化
「入社当時は営業をしなくてもドンドン仕事が入り、強気の商売をしていました。 しかし5年程前にあるお客様から“貴社はプラスチック加工屋さんですね。 プラスチックは0.01mm単位の加工精度が出ないので、図面寸法の変更を要求されることがありました”と言われました。 それまで、プラスチックは切削加工すると熱膨張しやすく、精度は難しいと思い込んでいました。 しかしお客様は、日々進化を求めており、我々は立ち止まっていたと気付きました。 それでこれからは高精度加工機が必要との判断でマツウラの高精度立形マシニングセンタ“Mold.Plus-800”を平成17年8月に設備しました。 しかし世間からは、“プラスチック加工にはもったいない機械を設備した”と言われましたが、 現在このマツウラのマシニングセンタにより益々高精度化するお客様のご要望に応えることが出来ています」と佐藤社長。
日々変化するプラスチック素材
同社では、様々な分野のプラスチック部品を加工しています。
食品関連では、食品加工ラインのコンベヤなど搬送に使われる部品。
医療関連では、リハビリ具に使用される部品。
印刷機器では、紙を送るローラ関連部品。
そのほか工作機械、建設機械、車両関係部品を製作してきました。
しかし、プラスチック製品は、数が増えてくると切削から成型品に変わり同社への仕事が止まることの繰り返しとなります。
5年前から半導体、液晶関連の最先端分野へ進出しています。
今まではプラスチックと言えば絶縁材として使用されましたが、半導体関連分野ではプラスチック部品に導電機能が要求されています。
これは部品に静電気があるとチリやゴミが付着し誤動作を起こす可能性があるためです。
プラスチックの中にカーボン繊維を入れて電気を通す新しい材料が開発されています。
「プラスチック材は日々進化しています。 以前プラスチックは削りやすいとの印象でしたが、今や難削材も増えており、切削条件も手探りの状況です。 また精度も日々高精度を要求され平行度0.01mmの部品も手がけています。 半導体メーカーから精度的に難しい仕事を引き受けましたが、工場一体になって完成させたことがあります。 仕事を通じて技術力は上がるとの実感を持っています」と佐藤社長。
大田区「優工場」に認定される
世界でも有数の工業地帯である大田区には、優れた技術・技能を持って、人・まちに優しい工場がたくさんあります。
大田区では、これらの素晴らしい工場を国内外にPRすることで大田区の産業の振興を図るために平成7年度から「優工場」認定事業を実施しています。
同社は平成18年に認定を受けています。
「優工場」とは人に優しい、まちに優しい、技術・技能及び経営に優れた工場のことを意味しています。
同社も工場の入り口に「優工場」の認定証が輝いています。
「大田区のカンバンを付けていると、お客様から技術力がある会社と思われます。 以前にはそれほど技術力を意識したことはありませんでした。 “優工場”認定後、創業者の会長の実績と今後の期待を含めた意味でありがたい表彰でした。 これからも高精度・高品位という大田区ブランド形成に尽力していきます」と佐藤社長。
ものづくり大田LLPに参画
今年1月に大田区の製品(商品、サービス)を全国に発信することを目的に、大田区異業種交流会から生まれた組合組織“ものづくり大田 LLP” が発足しました。
この組合の理事として佐藤社長は参画しています。
「大田区には異業種交流会が多数あります。 交流会は共同開発受注が得意ですが、大田区の技術で出来た製品を販売したいとの思いがあり、このLLPを立ち上げ参画しました。 弊社は、図面を頂き、それを加工し納品しています。 将来自社ブランドの商品を出したいとの夢を思っていますが、開発する人材がいない状況です。 しかしこのLLPを通じて人脈を広げ可能性を探っています。 先日、旋盤を担当しているスタッフが、サッカーワールドカップの優勝カップのレプリカを作ってくれました。 こんな遊び心から商品が生まれることを期待しています」と佐藤社長は夢を語っています。
会社名ケィディケィは旧社名協和電材工業の頭文字からKDKとしています。
しかし佐藤社長は社名を、“K=顧客要望、環境配慮に対して、D(ay)=日々努力して、K=企業繁栄させ、社会貢献していく!”と意味づけしています。
確かに大田区を歩くとシャッターの閉まった工場を多く見ます。
しかし、今回、大田区ブランドの力強さを実感する取材となりました。
会社情報
- 会社名
- ケィディケィ株式会社 様
- 所在地
- 〒143-0015 東京都大田区大森西4-3-13
- TEL
- 03-3763-9201
- FAX
- 03-3763-9236
- 第二工場
- 〒143-0015 東京都大田区大森西4-3-23
- kdk@hxgb.fttb.net
- 代表者
- 代表取締役 佐藤 武志 氏
- 創 業
- 昭和44年
- 設 立
- 昭和46年
- 従業員
- 15名
- 事業内容
- プラスチック製品の加工、製造及び販売に関する業務
- URL
- http://www4.ocn.ne.jp/~kdk/index.htm