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こんなユーザー
2009年4月号のこんなユーザー
No.119
シール用紙や弱電部品の抜き金型に特化
株式会社丸伸製作所 様
今回のこんなユーザーは、京都駅から南東へ車で15 分程にある株式会社丸伸製作所を取材しました。取材には社長の森幸夫氏に対応頂きました。
シール用紙と聞くと、手で剥がして貼るキャラクター等の用紙を想像しますが、現在では食品産業、自動車産業などあらゆる産業で商品名や注意版として使用されています。同社では、このシール用紙をカットするための様々な金型を製作・販売しています。
技術革新に挑戦する森社長
長年シール用紙のカットに使われる金型はゼンマイ刃という形式です。これはベースとなるプレートにカット用の刃が入る溝を加工し、その中に曲げられた刃を挿入するものです。
古くは糸ノコで溝を加工し、刃を手作業で曲げていました。刃のつなぎ目がきっちり合っていないとカットした時にシールは不良になります。職人技に頼るこの作業方法では技術の伝承も出来ず、また新しい人も入らない状況でした。
そこで森社長は、この作業のデジタル化に挑戦されました。
「レーザ加工機で溝を加工して、刃を挿入する方式に挑戦しました。先ずレーザ加工機は、メーカーと共同開発でレンズ構成を変え、溝幅が一定になる機械を開発しました。刃を曲げる機械は、他の業種で大型の刃を曲げる機械がありましたので、メーカーにお願いして小型の刃物を曲げる機械も開発しました。またレーザ加工機で加工するデータを展開して、曲げる機械に利用して誰でも操作できるデジタル化も実現しました。今のIT 技術では簡単なことですが、お客様からシール形状データを電話回線を使ってデータ通信で送ってもらうなど生産方式の革新を行いました。これらの方式は業界にインパクトを与え、シール用紙の拡大にもつながりました」と森社長。
高精度を要求されるシール用紙
「液晶を内側から貼るテープを作る金型作成の仕事を受注し、弱電関係に参入しました。それを契機に食品、自動車関連などのシール用紙の仕事が増えました。これらのシール用紙は自動化ラインに組み込まれ、製品の流れに合わせて機械で自動的に剥がされます。従って切り込みが台紙まで切り込まれていると、その箇所より亀裂が走りシール用紙が切れて自動化ラインがストップしてしまいます。シールと糊のみを確実に切断しなければいけないので、安定した金型の品質が要求されます。そこで高精度を実現するリニア駆動のマシニングセンタであれば安定した刃の作成が出来ると考え、リニア駆動のマシニングセンタで実績のあるマツウラの超高速リニアモータマシン“LX-0”の導入を決めました」と森社長。
平成15 年11 月に超高速リニアモータマシン「LX-0」と3 次元CAMシステム「GibbsCAM」を導入、本格的に高精度な刃を持つ金型製作に取り組みました。
金属を溶かす加工方法の採用
当初は、全てを切削で行っていたので、切削時間が長く、またワークに反りが出てしまいました。そこで、以前から使われていた金属を薬品で溶かす方法を採用しようと計画し、専用の装置と部屋を工場内に作りテストを行いました。その結果、金型のベースプレートに刃の形状のフイルムを貼り、金属を溶かす機械にかけます。そうすると、刃となる部分のみが残ったプレートが出来上がります。このプレートを「LX-0」に取り付け、刃の形状とベース部分を高速で切削して金型を作っています。この方法で安定した高精度の金型(商品名、超高精度刃ミールダイ)が作れるようになったとのことです。
「様々なシール用紙や弱電部品が持ち込まれます。例えば繊維質の多いもの、フイルムなど特殊な材料が増えています。お客様はカットする最終形状のみしか提示されません。刃の角度や高さは全て当社で考える必要があります。その意味で用紙や部品を抜く金型は、奥が深く楽しい仕事です」と森社長の言葉です。
取材を進めるとシール用紙は食品から電子部品など我々の身近に多く使われていることに気が付きました。形状にカットされているのは当然と思っていましたが、その形状に抜く金型に関して多様な技術が盛り込まれていることに感動した取材でした。
会社情報
- 会社名
- 株式会社丸伸製作所 様
- 所在地
- 〒607-8307 京都府京都市山科区西野山射庭ノ上町307-26
- TEL
- 075-583-5115
- FAX
- 075-582-0130
- info@marusin.gr.jp
- 代表者
- 代表取締役 森 幸夫 氏
- 創 業
- 昭和38年9月
- 設 立
- 平成 7年6月
- 従業員
- 10名
- 事業内容
- シール抜き金型や弱電部品の抜き金型の製作・販売
- URL
- http://www.marusin.gr.jp